NEW MUSIC TROLL - AUG

こんにちは!ただただ気に入った音楽を紹介するNEW MUSIC TROLL、8月編です。

Alta Vista - Alta Vista
シカゴで活動するミュージシャン3名によるユニット。ある日、ベーシストのJakob Heinemennが道端のがらくた箱の中に『New and Original Favorite Songs of Famous Hill Billies: Songs of Heart and Home, Romance, Pathos, and Comedy』という、1930年代に作られたカントリーや偽のトラディショナル・ソングが載った本を見つける。Heinemennはそれらの楽曲を現代に蘇らせるべく、仲間のChet Zenor(Gt.)、Andy Danstrom(Dr.)を誘ってAlta Vistaを結成。ポストロック~モダン・ジャズを横断するシカゴらしい感性で再演された"Melted Country Music"が強力なニセ・ノスタルジーを呼び起こす。Adeline HotelことDan Knishkowyが主催するNYのインディ・フォーク・レーベルRuination Record Co.より。


Arnold Dreyblatt, The Orchestra of Excited Strings  - Resolve
Pauline Oliveros, Alvin Lucier, La Monte Youngに師事したミニマル重鎮Arnold DreyblattがDrag Cityからリリースした最新作。バックを務めるThe Orchestra of Excited StringsにはOren Ambarchi, 17年にPANからリリースした『Stack Music』が忘れがたいKonrad Sprenger, かねてからDreyblattやSprengerと共演するJoachim Schütz。Sprengerによる反復ビートが引っ張るロックなギター・ミニマル曲も良いが、金属的なドローンの連続の後にDreyblattのピアノ線を張ったダブル・ベースのパーカッシブなタップ音が現れ、さらにGlenn Branca的な倍音ギターが絡んでくる17分に及ぶクローサー"Auditoria"が素晴らしい。70年代NYCアヴァンギャルドの歴史を今もって感じられる傑作でありました。Dreyblattといえば、Ambarchiが主催するBlack TruffleからTony Conrad, Jim O'Rourkeとの共演ライブ盤『Tonic 19​-​01​-​2001』が出たのも記憶に新しい。


The Armed - Perfect Saviors
デトロイトのパンク・コレクティブThe Armedの最新5th。2009年の結成以来、音楽をエゴやアイデンティティから解放するべくメンバーの名前を公表せず戦略的に匿名性を維持したまま(ときに偽名まで用いながら)リスナーを撹乱し続けてきたこの謎めいた集団は、前作『ULTLAPOP』リリース時から徐々にその肉体性を曝すようになっていたが(メンバーにはボディビルダーがいた!)、18年の大傑作『ONLY LOVE』に始まる三部作のラストに位置付けられた今作でついに"バンド"として姿を現した。とはいえ、ディッド・ボウイの遺作『★』への参加で名を馳せたジャズ・ドラマーMark Gulliana, 90s ポスト・ハードコアChavezのギタリストでBonnie "Prince" Billyとの共作も多いMatt Sweeney, Sarah Tudzin(Illuminati Hotties), Julien Baker(Boygenius)など、今回もかなり多くのミュージシャンが(しっかり記名制で)参加している。そのBakerがボーカル参加した"Sport of Form"のMVにはパンク・ゴッドことイギー・ポップ御大が神として登場していて最高だ。音楽的には、彼らがこれまで鳴らしてきたクロスオーバー・パンクを対象化するような新たな試みに満ちている。ボーカリストTony Wolskiの歌声で始まるオープナー"Sport of Measure"はこれまでの神秘性を取り払った人間宣言のようだ。Wolskiによれば今作は"アリーナ・ロック・レコード"なのだというが、"Patient Mind"などはまさにそのコンセプトを負った拳振り上げシンガロング系ロック・チューン。キャッチーなダンスパンク"Liar 2"や、アコースティック・バラード"In Heaven"(現正式メンバーPatrick Shiroishiのサックス・ソロが炸裂!)、ピアノの美しい音色で展開するジャズ・フュージョン"Public Grieving"といったポストULTRAPOPともいうべき変則的な楽曲群は"らしさ"とは何かをONLY LOVE主義者の私へ問いかける。Wolskiはインタビューで「難読化はもう行くところまで行ってしまった 今は本当に正直でありたい」と語っていた。これがコンセプチュアル・アートの限界なのか、望まれるべき真摯な表現の態度なのか…少なくとも武装集団The Armedは新たなフェーズを迎えている。


Babe, Terror - Teghnojoyg
ブラジル、サンパウロのマルチメディア・アーティストClaudio Katz Szynkierによるプロジェクト。Bandcampページにある長いライナーノーツや、アンビエント・ミュージック専門の得難い批評ブログA Closer Listenに掲載されているインタビューを読むと、ブラジルという国の状況(軍事独裁の歴史、ボルソナロのネオリベ右派政策、ルーラの再選・左派政権への回帰、70万人近くが死亡したパンデミック)に根差したハイコンテクストな作品であることがわかるが、まず曲を聴くだけでもそのユニークさに耳を惹かれる。ここではシンセやサンプルによる複数の異質な音のレイヤーが調和を拒絶したまま進行しており、別々の音楽を同時に再生しているような、非常にストレスフルな混乱をもたらす。サンパウロ郊外の住宅で行われたハウスパーティーでのDJプレイなどがサンプリングされているのだという。「もし私の音楽がサウンドトラックであるならば、今日の黙示録的状況(新型コロナウイルス、超資本主義、ネオファシスト、etc)のサウンドトラックというだけでなく、その直前の瞬間を含む記憶のサウンドトラック」であり、「壊れた世界と可能/不可能な世界との対話の瞬間」である黙示録状況によって本作を作ることができた、とSzynkierは語る。この相克が、不調和なコラージュ感覚に表れているのだろうか。Bandcampでアルバムを購入すると、35分のボーナスEPとそれぞれの曲に関連付けて制作された映像が特典でダウンロードできるのでそちらをおすすめします。


Babytooth - Babytooth
ポートランドの4人組の1stフル。WednesdayやPalehound等を彷彿とさせるフォーク風味のスラッカー系インディ・ロックで好み。リード・ギターのAnnie FiferがボーカルをやっているYellow Roomってバンドの方はスロウコアっぽいテイストもあり、そっちもそっちで良い。


BBBBBBB - POSITIVE VIOLENCE
愛知県岡崎市拠点の3人組デジタル・ハードコア・バンドの2ndがLAのエクストリーム・レーベルDeathbomb Arcから。Deathbombが日本人アーティストと契約するのはDos Monos以来だという。恥ずかしながらこのバンドのこと何も知らなくて、Deathbombの新作っていうんで聴いたんだが、かっこいいです。グラインド・ノイズコアにNyege Nyege的なガバやシンゲリも混ぜ込みつつ、"OH SAWAGI"でのお祭りビートみたいなジョークもあり。"FIRE ~Wish You Were Here(long ver.)"におけるチョモランマ・トマト "through your reality"のサンプル使いとか普通にエモい。チョモランマ・トマトは再評価されるべき。そこの30代前半の元邦ROCKキッズだった君もそう思わないか?



Bengal Chemicals - ন​ি​য​়​ম
6月編でインドは西ベンガルのノイズ・シーンをけん引するBiswa Bangla Noiseのコンピを取り上げた際にも紹介した、コルカタのエクスペリメンタル・ユニットBengal Chemicals。8月は本作以外にも『ম​ফ​স​্​ব​ল ট​ে​প​: ১』、そして『ম​ফ​স​্​ব​ল ট​ে​প​: ২』と計3作品を一挙セルフ・リリースしていたが、Google翻訳によれば"レニングラード: 第1章"および"第2章"と名付けられた2つの長尺トラックを含む"適度"と名付けられた本作がベスト。1章の後半から現れるスローなインダストリアル・ビートが、2章でテンポを不規則に変化させながら持続する。初期Wolf Eyes好きのそこの君にもおすすめだ。


Bisk & Spectacular Diagnostics - DIORETIX
ロンドンのラッパーBiskとシカゴのプロデューサーSpectacular Diagnosticsのジョイント作。BiskのBandcampページを眺めてみると、なるほど先月紹介したImmi Larusso, Morriarchi, Dylantheinfamousといったメンツと関わりが深いようで、僕の琴線に触れるのも納得。DiagnosticsのLo-fiビートとBiskの低熱かつエッジーなフロウの相性が大変グッドです。


Bonnie "Prince" Billy - Keeping Secrets Will Destroy You
Matt Sweeneyとの『Superwolves』、Bill Callhanとの『Blind Date Party』と近年も多作ぶりを発揮しているWill Oldhamだが、Bonnie "Prince" Billy単独名義としては19年の『I Made a Place』以来4年ぶりの新作である。本作も彼らしいシンプルかつアナクロなSSWアルバムであり、“Like It or Not”、"Bananas"、“Kentucky Is Water”といった楽曲で語られる人生に対する洞察や愛情に満ち足りたリリック≒ポエトリー、“Rise and Rule (She Was Born in Honolulu)”のストーリーテリングは、言うまでもなく素晴らしい。ケリー・ライカート『オールド・ジョイ』でのOldhamの素晴らしい演技まで観返したくなってくる。

Cameron Graham - Becoming a Beach Angel
UKのドラマー/プロデューサーCameron GrahamがPhantom Limbsからリリースしたデビュー・アルバム。ドラム・トリガーを用いて、人力で叩いたリズムを電気信号→シンセ音に変換、跳ねるようなリズムが複雑なパターンで連なってカラフルなメロディーラインを紡ぎ出す。聴いて楽しいミニマル・ミュージック。ゲーム音楽を聴いているような感覚にも近い。


CHERUBS - Icing/Heroin Man
テキサス州オースティンのノイズロック・バンドCherubsの92年デビュー作『Icing』&解散後の94年にリリースされた2ndにして最高傑作『Heroin Man』(加えて再結成後2015年の『2 YNFYNYTY』も)が、ついにリマスター再発!当時のリリース元はButthole SurfersのKing Coffeyが設立したTrance Syndicate Records(僕の愛するスロウコア・レジェンドBedheadもここからアルバムを出している!)。浴槽に浮かぶ死体ジャケットが本当に素晴らしい『Heroin Man』は、これまたLate 80s~90sのジャンク・ロックを語るには避けて通れない 変態レーベルAmphetamine Reptileが2010年代に再発リプレスしていたものの、それも軒並み高額化していたので大変嬉しい。一方『Icing』のほうはオリジナル盤のカバーアートがコンプラ的にアウトなので今回の再発では変更されてしまっている。去年、そのオリジを御茶ノ水ディスクユニオンで見つけて買うか買わないか小一時間悩んで買わなかったことが未だに心のどこかに引っ掛かっているため、こちらの再発LPは買わなかった…。ともあれ、この時代のこういう音が僕は大好きなのである。みんなもCherubsやCowsを聴いてバカになろう!


claire rousay - Sigh In My Ear/Your First Armadillo
インディーレーベルSaddle Creekの“Document Series”としてリリースされた7インチシングル。A面“Sigh In My Ear”では、Mexican Summerのシングル・シリーズ“Looking Glass”として発表された楽曲“Deceiver”に続いてカナダのシンガーソングライターHelena Delandをボーカルにフィーチャー。オートチューン加工ボーカルのハーモニーが美しい、ほとんどスロウコアな名曲であった。Rousayは7月にX(旧Twitter)で、なんと「スロウコア・アルバムのレコーディングを終えた」とポスト(ツイート)しており、そのリリースが待ち遠しい。


DJs Di Guetto - DJs Di Guetto
先鋭ダンス・レーベルPrincipeより、地元リスボンの特異なダンス・ミュージック・シーンを方向づけた2006年の画期的なコンピレーション『Vol. 1』から13曲を抜粋した新たな2LPのコンピが登場。2011年に設立され、バティーダやクドゥーロといった植民地アンゴラ由来の独自のダンス・ミュージックを世界に広めたPrincipe、そしてその源流となったDJコレクティブDJs Di Guetto等については、Resident Advisorで2014年に公開された記事「リスボンのゲットー・サウンド」に詳しいので改めて参照されたい。レーベル設立10年に合わせた2020年のPitchfork記事"A Guide to Portugal’s Príncipe Discos, One of the Most Exciting Dance Labels on Earth"は、Principeが拡散してきた音のインパクトを知るには丁度いいだろう。私のような"文脈"好きからすると、今回の再リリースは非常に教化的で意義深いものだったが、とはいえこういう音楽は聴けば一発でヤられるんだから聴けばいいのである。


Dustin Wong - Perpetual Morphosis
00年代後半のUSインディ界に颯爽と現れ、そして消滅したボルチモアのエキセントリック・オルタナ・バンドPonytailをご存じか?意味不明の痙攣ボーカル、マス・ロックとサーフ・ロックを往来するツインギター。僕は今でもPonytailが大好きなのだ(このライブビデオを何度観たことだろう)。そのPonytailでギターを弾いていたのが、ハワイ生まれ日本育ち(彼の第一言語は日本語である)のアーティストDustin Wongである。バンド解散後はギターループを主体としたソロ作品や嶺川貴子とのコンビ作を発表しているが、本作は2018年の『Fluid World Building 101 With Shaman Bambu』に引き続いてシカゴの実験レーベルHausu Mountainからリリースされた最新作。基本的にはシンセやサンプル、そしてボーカルを取り入れて見事にHausu Mountainらしく複雑にデザインされていた前作の延長と言えるが、本作ではそこにThrill Jocky時代のライブ感とアンビエント的感覚が追加されているように思う。"Pegasi"や"Orihime Hikoboshi"を聴いていると、ライブハウスの最前列でループペダルを自在に操るWongの一挙手一投足に釘付けになっていた10年前がまざまざと思い出される。ちなみに今年2月にはPatrick Shiroishiとの共作『森の穴』が、本作の翌週にはLeavingからLAの電子音楽家Brinとの共作『Texture II』が発表されているので、そちらも要チェク。


Earl Sweatshirt & The Alchemist - Voir Dire
2019年にアルケミストがその存在をほのめかし、YouTube上に偽の名義でアップロードしていたとされながら、誰もそれを見つけることができなかったEarl Sweartshirtのジョイント・アルバムが突如ドロップ。存在するがアクセスできないという都市伝説的なアルバムの在り様も異様であったが、Gala Musicのサイト上でのみ無料ストリーミングとNFTとしての購入が可能、というリリース方法もまた特殊(近日中にSpotify等でも配信されるという)。リリースに至るまでの尋常ではないプロセスと比べると、紛れもないALC印のドラムレスなビートと紛れもないEarl印のフロウは何らサプライズもなくフィットしている。もちろんリピート&リピート。


Edsel Axle - Variable Happiness
フィラデルフィアのシンガーソングライターRosali Middlemanの新プロジェクト。21年にリリースされたRosali名義の歌ものアルバム『No Medium』からすると意外に感じられるが、本作はエレキギターによるソロの即興インスト。これが大変素晴らしい。Loren Connors~Bill OrcuttのメランコリーとCrazy HorseやSteve Gunnの土臭さ。SSW作と同年に同じくギターインストの『Chokeweed』もリリースしていたようなので、そちらも改めて聴き直さなければならない。


Elvin Brandhi & Lord Spikeheart - Drunk in Love
先月のZiur『Eyeroll』の項でも紹介したウェールズ出身ベルリン拠点のボーカリスト/詩人/アーティストElvin Brandhiと、ウガンダのNyege Nyege Tapesからデビューしたケニアのノイズ/メタル・デュオDumaの片割れLord Spikeheartのジョイント作がNyege NyegeのサブレーベルHakuna Kulalaより登場。Brandhiはかつて同レーベルからVillaelvin名義でNyege Nyegeコレクティヴとのコラボレーション作『Headroof』をリリースしており、Spikeheartとも2019年から共同作業を続けていたという。インダストリアル・ビートとノイズ、そして両者の凄まじいボーカル・パフォーマンスに圧倒される極アナーキーな傑作であった。


Florry - The Holey Bible
女性シンガーソングライターFrancie Medoschが率いるフィラデルフィアのインディーロック・バンドFlorryの2nd。Big Thiefの直近作『Dragon New Warm Mountain I Believe In You』や、WednesdayのギタリストMJ Lendermanのソロ作に連なるようなカントリー/ルーツ色の強い、田舎臭いホンキートンクなグッド・フィーリング。MedoschはWilcoの『Yankee Hotel Foxtrot』やGillian Welchを聴いて育ったという、根っからのオルタナ・カントリー者なのだった。Lendermanも所属したDear Life Recordsからのリリース(Lendermanは先ごろAnti-とサインして素晴らしいシングルを出している)。


Forces - Chim​æ​ras
フィンランド人アーティストJoonas Sirenによるプロジェクト。プログラミング言語を用いて自由度の高いシンセを作成できるオープンソースのソフトウェアSuperColliderや様々なモジュラーを使い、ストックホルムにある公営スタジオEMSでの作業から生まれた実験作品。Kali MaloneやEllen ArkbroといったXKatedral周辺のスウェーデンの電子音楽家はもちろん、イタリアのCaterina BarbieriなんかもEMSのユーザーのようだが、なにせ1964年に設立された歴史ある施設なのだ(2014年にはEMSの研究本も発刊されている)。Arkbroが語るには、一度コース料金を払えば、その後は生涯支払い無しでスタジオを予約できるようになるらしい。そして彼女たちもまたSuperColliderのヘビーユーザーであり、ストックホルムのシーンでは様々なソースコードがオープンに共有されているのだという。開放された場とソフトウェアと情報があり、共有され、豊かな作品が生まれる。流石ヨーロッパだなー。『Chim​æ​ras』の話からは逸れたが、音楽以外の話をするのオレの本分!


Francisco Meirino & Jérôme Noetinger - Drainage, in six part
スイスのFrancisco MeirinoとフランスのJérôme Noetinger、実験音楽家2名による昨年の『Maiandros』に続く共演作。モジュラー・シンセ、フィールド・レコーディング、マイクロフォン、そしてオープンリール・デッキ、ラジオ、CDプレイヤーといったデバイスを用いた、電子機器の意図的なグリッチ・ノイズとフィジカルの操作が織りなすミュージック・コンクレート・セッション。


Grain - We'll Hide Away Complete Recordings 1993​-​1995
オハイオ州クリーヴランドでわずかな期間活動したポスト・ハードコア・バンドGrainのコンプリート・ディスコグラフィ。100に近いライブ・ステージをこなすなど精力的に活動しながら、作品として残ったのは数枚の7インチとスプリットやコンピレーションへの参加のみで、フルレングスは一枚も残さなかった。D.C.ハードコアの影響が色濃い、いかにもearly 90sなハードコア・サウンド。fast/slow, loud/quietのコントラスト、不協和音のギターワーク、ボーカルのシャウティング…やっぱりこの時代のこの音!Unwound、Indian Summer、Hoover、Drive Like Jehu(R.I.P. Rick Froberg)など同時期の偉大なバンドを共に振り返りつつ、ノスタルジーに浸ろうと思います。


Hali Palombo - Radio & My Voice
シカゴのサウンド・アーティストHali Palomboの最新作。彼女のスタイルは、過去の録音物、短波ラジオ、あるいはモールス信号などを基にしたサンプル・ベースのプランダーフォニックと呼ばれるジャンルに属する。レコードと競合した末に廃れてしまった初期の録音物であるワックスシリンダーの音源をサンプリングした21年の『Cylinder Loops』で知って以来フォローしている作家である。タイトルのとおり、本作のサンプル・ソースは彼女が傍受した短波ラジオ。同様に短波ラジオを使った20年の『Cheery Ripe』の続編的な内容で、今回は不明瞭な音楽、あるいは人の話し声、ノイズに加えて、ピアノ、ギター、サックスといった楽器の音も加えられているという。全体にダーク・アンビエント的雰囲気に包まれているが、オルガンによる子守唄のような簡素な音楽と生成された“I Love You”という声、そしてしばらくの沈黙のあとにNicoの名曲"These Days"の謎インストverが霞んで聴こえてくるアルバム最後の“Firedrake Jammer”がすげえ感動的。


Helvetia - The Beach At The Edge Of The World
スロウコアのカルト・バンドDusterのオリジナル・ドラマーであり、解散後にはXiu Xiuのデビュー作『Knife Play』にギターで参加したり、Built To Spillのベーシストを務めていた時期もあるマルチ・インストゥルメンタリストJason Albertiniのプロジェクト。2005年に今はなきUp Records(Built To Spill. Modes Mouse, 764 Heroes, Quasi)からリリースされたデビュー作『The Clever North Wind』以来、主に4トラックで録音されるAlbertiniのソングライディングはローファイ美学にとことん貫かれており、Dusterのオリジナル・メンバーであるCanaan Amber, Clay Parton以上に、実は誰よりも彼がDusterの遺伝子を継いでいたのだった(とはいえ、HelvetiaにはときにAmberも参加していたし、さらにはPartonが立ち上げたThe Static Cult Labelからリリースを重ねていたので、活動休止中も彼らの共同作業は実質続いていたと言えるだろう)。しかし、本作のリリース・ページには何と“Last Helvetia album!”とキャプションが加えられているのだ。20代後半からメンタルヘルスと薬物中毒に苦しみながらもひたすら自らの音楽を作り続けてきたAlbertiniの今後が単純に心配になるわけだが、とりあえず今はこのラスト・アルバムを聴いてHelvetia万歳と叫びたい。Misfitsの世紀の名曲"Hybrid Moments"のローファイ&サッドなカバーが収録されている『Gladness 2001​-​2006』のカバーアートに使われているAlbertiniのポートレートがをプリントした限定5枚のTシャツのうち1枚を買ったのは私です。


Ibukun Sunday - Divine
1月編でもPhantom Limbからのリリース作『Mantra』を取り上げたナイジェリアのアンビエント作家Ibukun Sundayがセルフ・リリースした新作。ドローン要素の強かった前作に対して、今作では室内楽やニューエイジに接近(彼はヴァイオリニストでもある)。ぜひこの路線でもっと長尺のワントラックが聴きたい。


Iceboy Violet - Not a Dream But a Controlled Explosion
マンチェスターのノンバイナリー・ラッパー/プロデューサーIceboy Violetの最新プロジェクト。昨年のEP『The Vanity Project』はSlikback, Mun Sing(Giant Swan), Blackhaineら気鋭アーティストとのコラボレーションがメインだったが、今回は全曲セルフ・プロデュース。徹底してダークなビートはアンビエント~グライムを横断しながら強烈な低音を響かせ、Violetのフロウと一体化する。「生活の中で欲望とファンタジーが果たす役割について」とされるリリックは、自身のアイデンティティを反映しながら、詩的に力強く希望を提示している。
"Ditch your mans. And come and find me in our own personal Eden.", "Force of will change the plot." - ("Paris, Bradford")
凄みを感じさせる全8曲17分。


Mad Anthony - The Lost Tapes
1975年、無名の3人組Mad Anthonyによってカリフォルニア州サンタ・バーバラのとある納屋の中で、2トラックのレコーダーと一本のマイクで録音されたデモ音源集。バンドのメンバーJohn Schwabの息子Benjamin Schwabは、Michael Collins(f.k.a. Run DMT, Salvia Plath)によるサイケデリック・ポップ/AORプロジェクトDrugdealerへの参加や、アナクロすぎるソフト・ロック・バンドSylvieの一員として活躍するミュージシャンであり、彼がこのリリースに尽力したそうだ。Benは幼少気に父親の音楽を聴いて以来、そこから多くのインスピレーションを受け、Sylvieとしての活動の大きなきっかけにもなっているのだという。スイートなギターワーク、ボーカル3人の美しいメロディーとハーモニー、そしてローファイな録音…たしかにこれは素晴らしい。当時、バンドは結局レコード会社と契約することはできなかったが、50年の時を経て、今僕がこうして聴いている。


Maeda Yasuyuki / Li Song - 28th Dec, Arakawa
水道橋にある即興音楽専門のCDショップ兼レーベルFtarri(ふたり)より。ロンドン在住のPCプログラマー/ミュージシャンLi Singと名古屋在住のPCプログラマー/ミュージシャン前田康行の2名によるサウンド・アート作品。2022年12月28日、荒川近くの屋外で2台のラップトップを用いて行われたSuperColiderによる即興セッションの記録。それぞれのラップトップの間に置かれたポータブル・レコーダーが、PCの内臓スピーカーから出される電子音と周囲の環境音をつぶさに捉える。フランスの現代音楽家リュック・フェラーリの代表的コンクレート作品『Presque Rien (ほとんど何もない)』を彷彿とさせる日常の音風景(車の走行音、鳥のさえずり、通行人の歩行と会話、etc)と、そこへ控えめに闖入するアンビエントな電子音が生み出す調和と緊張の不安定な関係がすごく面白い。キャプションにも書かれているように、公園で録音された"5pm"の20分15秒当たり、ブリープ音が持続している中で、誰かの「とめて」という声が聞こえるのだが、音風景としてのその声が人為的なノイズに対してのノイズに反転して、むしろ静寂が壊されたように感じられる。ちなみに現場で演奏していた2名は、その声を聞いた記憶はないらしい…(急にホラー)。2名が同じコンセプトでロンドンで制作した『Two Laptops』もあるよ。


Matt Atkins - A Quiet Ritual
7月編で『Circulation of Subtleties』を紹介したロンドンのサウンド・アーティストMatt Atkinsの新作が、同じく7月編で紹介したChemiefasewerk(a.k.a. Christian Schiefner)& Tim Olive『Der Hafen』のリリース元であるエディンバラの新興レーベルMolt Fluidからリリース。テープ・ループと物音パーカッションによる静謐なコンクレート。親レーベルczaszka (rec.)と合わせて、今後もMolt Fluidには要注目です!


Mick Jenkins - The Patience
シカゴのラッパーMick Jenkins、2年ぶりの新作。30分にも満たない作品だが、トラックのジャジーな雰囲気はそのままに、Jenkinsのパフォーマンスはこれまでになくエネルギッシュで過激。「忍耐」というアルバム・タイトルは、作品を出すごとに予算が減っていったという前所属レーベルCinematicとの契約を前作『Elephant In The Room』で終えてからの2年間に積み重なったフラストレーションもまた表しているようだ。Freddie Gibbs, Benny The Butcher, JIDらをフィーチャーした前半から、非常にアグレッシブなフロウとリリックを聴かせるハイライト満載の後半部へボルテージを上げていく構成が熱い。最高傑作間違いなし。


Mr. Greg And Cass Mccombs - Mr. Greg And Cass Mccombs Sing And Play New Folk Songs For Children
僕が最も敬愛するシンガーソングライターのひとりであるCass McCombsの新作はちょっとトリッキー。長年の友人である幼稚園教諭Greg Gardnerさんが子供たちに向けて書き貯めていた楽曲を、McCombsが様々なアレンジで仕上げた全20曲の童謡集となっている。実際に子供たちもインタビューを受けたりコーラスを歌ったりといった形で参加しており、オーソドックスなフォーク/カントリーを基調としたアレンジも相まって、まあ非常に朗らかである。60年代から活動する現役フォーク歌手Michael Hurleyがカメオ出演する“Friends From All Around The World”なんて、たしかに保育園のときにこんな歌ったような気がするものな。職業や身体、動物、紙飛行機、アルファベットなど、いかにも幼児教育っぽい楽しげなトピックを多く扱っているが、“Requiem For Ruth Bader Ginsburg”や “Wave A Flag For Harvey Milk”では、米国の歴史に名を残す偉大な女性最高裁判事と同性愛者の権利のために立ち上がった市議会議員を讃えながら、公正・平等・多様性の大切さを説いている。その射程は子供たちだけにはとどまらないだろう。


Myst Milano - Beyond The Uncanny Valley
トロントのラッパー/プロデューサーMyst Milano、ポラリス・ミュージック・プライズにノミネートされたデビュー作『Shapeshyfter』に続く2nd。ブラックでありノンバイナリーであるMilanoのモットーは"'No genre, no gender, no rules"。本作は、ハウス、ドラムンベース、フットワークといったダンス・ミュージックにヒップホップ、R&Bを混ぜ込んだ「世代、地域、ジャンルを超えたブラック・エレクトロニック・ミュージックのアンソロジー」として制作された。陶酔感のあるトラックに乗せられる抑制的なMilanoのボーカルが、"Pressure"でパンキッシュに弾ける勝利の瞬間は間違いなく本作におけるハイライトだろう。


Neil Young - Chrome Dreams
17年の『Hitchhiker』、20年の『Homegrown』に続く、70年代半ばに録音された未発表アルバム・シリーズの最新作。当時制作されたアセテート盤を元にしたブートCDが古くから出回っており、ヤング自身『Chrome Dream 2』なる続編作を2007年に発表していたりする幻のアルバムがついに公式リリースされた。収録されている楽曲は、後に再録されたり、前述のアーカイブ・シリーズに含まれていたりとすでに世に出されているものも多いが、本作は70年代のヤングの充実度を明確に示している。ニール・ヤングは良いぞ。ちなみに僕が一番好きなアルバムは74年の『渚にて』です。


Open Mike Eagle - Another Triumph Of Ghetto Engineering
シカゴのアンダーグラウンド・ラッパーOpen Mike Eagleが昨年の『Component System with the Auto Reverse』から一年経たずにリリースした最新プロジェクト。プロデューサー陣は前作に続いてQuelle Chris, Illingsworth, Child Actor, そしてBilly Woodsとの『Maps』が記憶に新しいKenny Segalと磐石の布陣。プレスリリースによれば、本作は「我々を無視する人間への“fuck you”、我々の生死を気にかけてくれる人たちへの“thank you”」なのだという。喪失のアルバムであった2020年の『Anime, Trauma and Divorce』、そして故MF DOOMへの素晴らしいトリビュート“for DOOM”をハイライトに据えたノスタルジーと内省の前作を経た本作は、(いつものように)ユーモアに溢れた個人史であり、現在のアンダーグラウンド・ヒップホップ・シーンへの賛歌である。仲間たちの名前をひたすら列挙し讃える“dave said these are the liner notes”はまさに“Another Triumph”の宣言だろう。


ovrkast. - RESET!
MaviやEarl Sweatshirtへのビート提供、さらにはティーン・ラッパーredveil『Learn 2 Swim』での客演など、数は少なくともアンダーグランド・シーンに確かな軌跡を残してきたオークランドのラッパー/プロデューサーovrkast.、3年ぶり新作は6曲入りのEP。前作『Try Again』での彼のラップはときにビートにかき消されまでしていたが、今作では人が変わったように軽やか且つエモーショナルなフロウを自信ありげに披露していて素晴らしい。


Plume Girl - In the End We Begin
オースティンのオルタナティブ・ポップ・デュオFelt Outの片割れSowmya Somanathによるソロ・プロジェクトPlume Girlのデビュー作が、おなじみスロバキアのレーベルmappaより。インドのラーガからインスピレーションを得た、アコースティックとエレクトロニクスを織り交ぜたアンビエント・ポップでかなり良い。Auto-Tuneボーカルや、"emo ambient"のタグからわかるように、Claire Rousay, More Eazeからの影響も大きそう。


pmxper - pmxper
Trilogy TapesやAD93から作品をリリースしているDJ/プロデューサーPavel Milyakov (aka Buttechno)とアンビエント作家Perira、ベルリン在住のロシア人アーティスト2名によるコラボレーション作が、ノルウェーのレーベルSmalltown Supersoundのジャズ・ラインLe Jazz Nonより。スポークンワードとアンビエント、そしてYoung Marble Giantsのミニマリズムをベースにしつつ、トラックによってはシューゲイズっぽいギターやサックス、太いベースによるジャーマン・ロック的グルーヴもアクセントとして加えられている。


Prewn - Through The Window
マサチューセッツのシンガーソングライターPrewnことIzzy Hagerupのソロ・デビュー作。彼女はNYCの即興ジャム集団Pelican Movementの一員としても活動しており、同グループの首謀者Kevin McMahon(僕の愛するニュージャージーのパンクバンドTitus Andronicusの作品を数多く手掛けている!)が共同プロデュースと録音を務めている。フリーフォーク~サイケ/ガレージ(あるいはスロウコア)の間をうろつきながら、Hagerupがその特徴的なボーカルで歌うのは、人生の暗がりだ。"Tell my momma that I love her. See you dad above the thunder. Let this be a lesson children. Nothing lasts forever."と、自動車事故および死を仄めかす陰惨なオープナー"Machine"から、気分は一向に晴れることはない。"Perfect World"では、金持ちの権力者を語り手にグロテスクな世界観を歌っている。叙情にとどまらないダークなストーリーテラーとしてもハイセンスだ。


Prison - Upstate
NYCのサイケデリック・バンドEndless BoogieのギタリストPaul Majorを中心に、80sハードコア・バンドGoverment Issue, Dischordのポスト・ハードコア・レジェンドRites Of Spring, David Berman率いるSilver Jewsなど数々のバンドで演奏してきたベーシストMike Fellows、オリンピアのカルトなポスト・ハードコア・バンドLycn(K Recordsからの唯一作『These Are Not Fall Colors』が間もなく再発予定)のフロントマンであった故Sam Jayneら、輝かしいメンツによるヘヴィ・サイケ・スーパーグループPrisonのデビュー・アルバムがDrag Cityから。15~20分に及ぶブルース/ガレージ/サイケデリックな即興フリーク・アウト・ジャムをたっぷり収録。


Raw Poetic & Damu The Fudgemunk - Away Back In
Archie Sheppの甥っ子であるラッパーRaw PoeticことJason MooreとDamu The Fudgemunkのジョイント作。Fudgemunkの間違いないドラム・プログラミングに加えて、このデュオの前作『Laminated Skies』(昨年のベスト・ラップ・アルバムかもしれない)に続いて参加しているPatrick Fritzのスムースなギターリフがトラックの中心に据えられ、Mooreの半ば歌うようなライミングを彩っている。


Ruth Garbus - Alive People
Tune-YardsことMerrill Garbusの妹であり、King TuffことKyle ThomasとのバンドFeathers, Happy Birthdayでも活動していたシンガーRuth Garbusの新作は、ギター、シンセ、ドラムマシンというシンプルな構成によるライブ録音のモダン・フォーク。往年のジョニ・ミッチェルやリンダ・パーハクスを想起させるGarbusの歌声はトラディショナルに響くが、同時に今年3月にリリースされたRichard Youngsの『Modern Sorrow』にも通じるアヴァン・ポップな感覚もあり。繰り返し聴きたくなる傑作です。


Slikback - I S O L A T I O N
『K E S S E K I』『T A P E S T R Y』『H I K A R I』と今年もハイペースにリリースを続けているケニアのDJ/プロデューサーSilkbackの5曲入最新EP。ダブステップもフットワークもインダストリアル・テクノも何でもござれな"KENEKI", "VOIDOUT", "ASEIX"のつるべ打ち最高。SFホラー映画のサントラみたいなラスト曲"TRAIL"も◎。Silkbackの楽曲は大体Bandcampでフリーでダウンロードできるのでみんなもそうしよう!


Sonic Youth - Live In Brooklyn 2011
ソニック・ユースの解散前最後のアメリカ公演の模様を収めたライブ盤。1曲目はSetlist.fmによれば80年代後半から一度もライブで演奏されていない"Brave Men Run (In My Family)"。この日のバンドはもうかます気満々なのである。続いて定番曲"Death Valley ’69"→"Kotton Krown"(『Sister』(1987)収録)→"Kill Yr Idols"(『Confusion Is Sex』(1983)収録)→"Eric's Trip"(『Daydream Nation』(1988)収録)と、80年代USアンダーグラウンドの輝かしい功績であるインディーズ期の楽曲が連続する。結局、この日のセットリストで最も多かったのは、20ウン年ぶりに演奏されたものも含めた『Bad Moon Rising』(1985)収録曲であった。バンドのパフォーマンスはエネルギッシュで、過去の楽曲と当時の最新作『The Eternal』の楽曲とを並べてもまるでタイムラグを感じさせない。バンドが破綻する直前の最後のスーパーノヴァを記録した貴重な文化遺産です。


Territorial Gobbing - This Is How I Win
英リーズのアングラ・コンクレート作家Territorial GobbingことTheo Gowansによるテープ・ループ作品。6月に自主リリースされていた26分に及ぶタイトル曲と、同楽曲を生楽器(バイオリン、オルガン、チェロ)を加えた編成で演奏したライブ音源をそれぞれA面とB面に収録した形で、ブリストルのDIYレーベルLiquid Libraryがカセットとして再リリース。繰り返される同一の悲しげな旋律を軸にフィールド・レコーディングやノイズが様々なテクスチャーを加えていく。


Theravada and Zoomo - Waste Management
Akai SoloやYUNGMORPHEUS, Earl Sweatshirtにもビートを提供しているNYCの才人Theravadaが今回はMCに専念し、ラッパーYLと黄金コンビを組むビートメーカーZoomoとのジョイント・アルバムを発表。91曲入りのアルバムを発表するなどラッパーとしても十分すぎる実績を残すTheravadaの硬派なライミングとZoomoによるサンプリング・ベースのアブストラクトなプロダクションの相性は抜群。


Tomu DJ - Crazy Trip
1月編で『If You're So Cool, How Come No One Likes You?』(改題『Temporary Suspension』)を紹介したTomu DJの新作。僕はどういうわけか『Ambient works vol. 1』でアンビエント作家として彼女を認識し始めたわけだが、本作はしっかりクラブ向きのIDM作品であった。ゆらゆらするアンビエント・ドローンとハウスの4つ打ちを組み合わせた"Mewsic"、Petty Gettyのユーモラスなボーカルをフィーチャーしたジューク・トラック"Bedroom DJ"(素晴らしい語順だ)、ニューエイジなシンセのバックでホワイトノイズがうっすら刻むレゲトンのリズムをパーカッションが肩代わりしだすタイトル・トラック"Crazy Trip"など、様々なスタイルが試行されており、そして美しい。


Vangas - Vangas
アトランタの4人組ノイズ・ロック・バンドVangasのセルフ・タイトル2nd。インダストリアル~ノーウェーブの不協和音、ミニマリズムとポスト・ハードコアの品のなさを愚直に全うしている有難いバンド。パンデミックがなければ数年前にリリースされる予定だったアルバムだったらしく、全7曲のうち4曲は2020年に発表されていたシングルの新しいミックスもしくはリミックスverである(そのぶん音はかなりエッジーかつクリアに改善されている)。現在、さらに新たなアルバムを仕上げている最中だという。普通に売れてほしいです!


Wandering Years - Mountain Laughed
ブルックリンのミュージシャンGene Stromanを中心としたスロウコア/インディ・フォーク・プロジェクト。例によってRed House Painters, Low, Songs: Ohia, Elliott Smith等のサッドな90sインディーに強く影響を受けているという。ミックス&マスタリングをHorse Jumper Of Love作品を手掛けるBradford Kriegerに依頼しているのも非常に合点がいく。出したい音と感情が明確。僕はもちろんメランコリー大歓迎!前作にあたる『Wandering Years Retirement Community』でアメリカの60sカルト・フォーク歌手Jackson C. Frankの"Relations"をスロウコア・アレンジでカバーしていて感心してしまった。みなさんもJackson C. Frank聴きましょう!素晴らしいので。

以上!8月の振り返りでした。
ついでに先月読んでよかった本
・永井玲衣『水中の哲学者たち』(晶文社)
・ナンシー・フレイザー『資本主義は私たちをなぜ幸せにしないのか』(筑摩書房)
・森山至貴、能町みね子『慣れろ、おちょくれ、踏み外せ 性と身体をめぐるクィアな対話』(朝日出版社)
・ダニイル・ハルムス『ハルムスの世界』(白水社)

NEW MUSIC TROLL - JULY

新譜紹介、7月編です!


7038634357 - Neo Seven
上海のGenome 6.66MbpなどからリリースをしてきたNeo Gibson a.k.a. 7038634357(自身の電話番号らしい)がBlank Forms Editionデビュー。やわらかいシンセの反復音+グリッチーなノイズ+幽かな加工ボーカルの連続的パターンといった趣のメロディックなアンビエント・トラック全7曲。M1"Winded"とM7"Perfect Night"における激ディストーション・ノイズが強い印象を与える。ボーカルを覆っていたそのノイズがジジジと故障を思わせるかのように途切れ、Gibsonの声が取り残されるような映画的エンディングが◎。


AJ Suede - Ark Flashington
1月編、3月編に続いて三度登場。シカゴのラッパーAJ Suedeの最新プロジェクトは全曲セルフ・プロデュース。Suede's ビートの十八番とも言えるボーカル・サンプルのセンスはやっぱりエグい。中でもエキゾなジャパニーズ歌謡曲サンプルは本作でもM2"Direct Currents", M3"Tesla Coil"で登場。しかし元ネタ不明!ピンと来た方、情報お待ちしております。M7"No Brainer"にはScallops Hotel(a.k.a. Rap Ferreira, f.k.a. Milo)参加。



Al.Divino - "SHEET MUSIC" VOL. 1000
マサチューセッツのアングラ・ラッパーal. divino、1月の三部作『Prkoswv』『Self Phone』『Power Pack』とBoriRockとの『MGNTK』に続く最新ミックステープ。 No Face prod.のカオスなオープニング"Loading Screen"→POI$UN 陽 prod.のダークなブーン・バップ"Dreamweave / Portals"で掴みは抜群。ブロンクスのラッパーBa PaceのコラボレーターThe Builderによるレイドバック系Boom "Quicksand"や盟友ESTEE NACKの参加曲も良い。


Anohni and the Johnsons - My Back Was A Bridge For You To Cross
ソロ作『Hopelessness』からは約7年ぶり、The Johnsonsを率いての作品としては『Swanlights』以来13年ぶりとなるAnohni Hegartyの新作フル。Daniel Lopatinまでも登用した実験的で痛烈なプロテスト(ドローン爆撃、オバマ、消費主義、男根主義、etc)を含む前作同様、曲の多くは政治的なメッセージを含むが、本作はそこへ慈悲と許し、優しさを導入したのだという。本作で彼女が志向したブルー・アイド・ソウルという複雑なジャンルについてや、重要なインスパイア元であるマーヴィン・ゲイ『ホワッツ・ゴーイン・オン』、前作からの変化、ジャケットに写るトランス活動家マーシャ・P・ジョンソンのことなどはTurnやAtlanticのインタビューに詳しい。多くの曲でファースト・テイクを採用したというアノーニのボーカル・パフォーマンスは素晴らしく、じわじわとボルテージを上げていくソウルフルなM4“Can't”は個人的ベスト・トラック。かつて名曲“Fistful of Love”で共演した故ルー・リードとの会話を元に書かれたM3“Shilver of Ice”も感動的だ。アルバム自体ももちろん年間ベスト候補。20年にリリースされたグロリア・ゲイナーのディスコ・クラシック“I Will Survive”の荘厳なカバーも未だに忘れがたい。3月編で取り上げた、90年代にアノーニが主催したアングラ・パフォーマンス集団Blacklips Performance Cultのコンピレーションも今一度チェックされたし。



anonymous - Fontana
フィラデルフィアの実験レーベルNo Rentから大変な企画モノが。アメリカ人もしくはアメリカ在住の匿名アーティスト18名が、ジョン・ケージの代表的テープ・コラージュ作品"Fontana Mix"をソースに楽曲を制作したノイズ・コンピ。各アーティストに課せられた条件は、(1)7日間以内にマスターを提出する、(2)シングル・テイクのライブ録音、(3)自身の真正なスタイルを誇示すること、であった。送られてきた素材をNo Rent主催のJason Crumerが90分、60分、30分というカセットテープのフォーマットに合わせて均一の長さにカット。カセット3本分・全長3時間弱の大作となっている。基本的にはアブストラクトなハーシュ・ノイズ/パワー・エレクトロニクス路線といってよいが、しかし同じソースを元にしているからこそ、そこに確かに個性(らしきもの)が浮かび上がっており、ライナーノーツで提案されているように"利きノイズ"的な楽しみ方も可能。先月紹介した仲山ひふみ論考と合わせて、ノイズ・ミュージックと対峙する姿勢を正されるような作品であった。


Ava Rasti - Ginestra
UK実験レーベルFlaming Pinesより、テヘラン在住のイラン人アーティストAva Rastiのデビュー作品。元々はアンダーグラウンドなガールズ・ポストパンク・バンドでベースを弾いていたRastiは、2020年からモダン・クラシカル/アンビエント/ドローンに傾倒したソロ・プロジェクトを始動。本作は、バッハ、シベリウス、ベートーベン、マーラーといったクラシック曲をサンプルに用いた「歴史の美しい瞬間を破壊した結果」という全6曲。Leyland Kirby a.k.a. The Caretakerの手法にも近い、ノスタルジーを人質にとったダーク・アンビエント。


B L A C K I E - cassette tape music
ヒューストンのラッパーB L A C K I E(場合によっては"B L A C K I E... All Caps, With Spaces"と丁寧に表記されることもある)の最新ミックステープ。20年~21年にかけての『Face The Darkness』シリーズ以来ひさびさのリリースとなった。彼の音楽の美点は何といってもノイズ/インダストリアル系の激ヘヴィなトラックと、声帯がちぎれんばかりに怒りや欲求不満をぶちまけるRAWなヴォーカル・パフォーマンスにあるが、今作も凄まじい迫力。全10曲13分半、"catharsis only"。最高。


bod [包家巷] - NONWARE 空​件​提​高
5月編でも取り上げたベルリン在住のオーディオ・ビジュアル・アーティストbod [包家巷]の最新作。メランコリー系アンビエント/ノイズ。例によって本作でもショート・ムービーが制作されているのだが、産業スパイ風の近未来SFで意外と面白かったです。


Chemiefaserwerk / Tim Olive - Der Hafen
エディンバラに新設されたカセット・レーベルMolt Fluidの第一弾リリースは、3月編で紹介した仏実験作家Christian Schiefnerの変名Chemiefaserwerk、カナダ出身神戸在住のTim Oliveによるコラボレーション作。互いの録音物を交換してそれぞれが編集・処理・ミックスを施した対話的ドローン/コラージュ。


Chris Corsano, Bill Orcutt - Play at Duke
13年の『The Raw And The Cooked』、18年の『Brace Up!』、21年の『Made Out Of Sound』等で素晴らしい即興ジャムを聴かせてきたデュオのライブ盤。22年に行われたThree Lobed Records設立21周年記念イベントでのパフォーマンス(大トリ!)が収録されている。Harry Pussy由来のパンキッシュなOrcuttのギターに呼応するCorsanoのドラミング、静と動、Orcuttのシャウト、カタルシスの持続、そして観客の反応。マジ熱い。この2名に2000年生まれの若手サックス奏者Zoh Ambaを加えた3人でのスタジオ録音作『The Flower School』も同時リリースされています!


The Clientele - I Am Not There Anymore
1991年結成UKインディー・バンドThe Clienteleの最新作。彼らの音楽といえば、ギャラクシー500由来のリヴァーヴの効いたドリーム・ポップ/ソフト・サイケであり、長いキャリアの中のどのアルバムを聴いても「クライアンテルだなー」という、確固たるスタイルを持つバンドだったのだが、チェロの音色とブレイクビーツ(!)で幕を開ける8分半のオープニング"Fables of the Silverlink"を聴けば、本作が彼らの長いキャリア史上最も実験精神に溢れた作品であることがわかるだろう。ところどころに挿入される"Radial"と名付けられた短いインタールードや、"Conjuring Summer In", ”My Childhood”, "The Village Is Always on Fire"でのスポークンワードといった試みは、過去の作品からするとずいぶん唐突に思える。Aqurium Drunkardのインタビューによれば、コンセプトらしいコンセプトはなく、「自分が作る最後の作品であるかのように、知っている全てを、愛するもの全てを注ぎ込んだ」結果、全19曲70分越えという長大な作品になったのだという。それでもやはり"Garden Eye Mantra", "Lady Grey", "Blue Over Blue", "Hey Siobhan"といった素晴らしい楽曲群にはバンドの本質が刻印されており、初期の傑作群を愛するファンの心も離さない。LambchopのKurt WagnerやLowのAlanとMimiなど、キャリアの後年に尖ったことやり始めるベテラン・インディー・ミュージシャン、好き。


Cut Worms - Cut Worms
ブルックリンのシンガーソングライターMax Clarkeによるインディー・フォーク・プロジェクトCut Wormsのセルフ・タイトル3rd。ランタイム80分のダブル・アルバムであった前作『Nobody Lives Here Anymore』とは打って変わって、30分強のコンパクト・サイズにまとまったタイムレスなヴィンテージ・ポップ集。オープニングの切ないラブソング"Don't Fade Out"がフェードアウトで終わっていくアイロニーに胸がグッとなる。


Darlene - DON'T LOVE YOU BUT WANT TO
ブラジルのレーベルMunicipal K7より。サンパウロ在住のトラヴェスティ・アーティストDarleneによるエクスペリメンタル・ポップ作。21年に同レーベルからCrocodile Slim名義で発表した『Nascido em Swampland』はサンプリングやコラージュ主体の実験作品だったが、今作では冒頭からファルセットのボーカルを聴かせている。ラテン・アメリカにおける"Travesti"という語に関しては、英語版wikiを読むとなかなか複雑そうなのだが、Darleneの場合はトランスジェンダーと同義であろうと思われる。"DON'T LOVE YOU BUT WANT TO I"のMVでは、彼女が海から陸へと上がり、カメラに笑顔を向けて去っていく。Bandcampページのキャプションに載っている"To be travesti is to be somewhat amphibious, for me. "という彼女の言葉は、カバーアートに描かれた爬虫類のような生物のイラストにも反映されている。そこには、ノルウェーのアーティストJenny Hvalが2013年に発表した楽曲"Amphibious, Androgynous"において、両生と両性を併記したのと同様の感覚が見出せるだろう。キッチュにも感じられる攪乱的なDarleneの歌声は、そうした非バイナリーな在り様を発現させている。


The Dead C - The Operation of The Sonne/Tusk/The White House
ニュージーランドの即興ノイズ・ロック・トリオThe Dead Cが90年代にSiltbreezeからリリースした3作が現所属レーベルBa Da Bing!からついにアナログ・リイシュー!PavementのStephen Malkmusがかつてオール・タイム・ベストに選出した92年作『​Harsh 70's Reality』が取り上げられた今年5月掲載のPitchfork Sunday Reviewによれば、バンドのギタリストBruce Russellは「1995年頃には従来的な曲を書くことをやめた」と語ったことがあるらしいが、そうであれば今回復刻された3作はまさにフリー・ジャズ的即興ノイズ・ジャムに傾倒していく時期のものと言えるだろう。私的ベスト・トラックは『The White House』収録の約18分に及ぶ壮大なエンディング"Outside"。4月編で紹介したBill DireenやTall Dwarfs、9月にSuperior Viaductが発売を予定しているPeter Gutteridgeなど、80~90年代のNZアンダーグランド・シーンの再発事業は比較的盛んに行われているが、私が猛烈にお願いしたいのはPeter Jefferies, Alastair Galbraithらによる短命バンドPlagal Grindが唯一残したEPの再発であります!寝て待つ!


Fatboi Sharif - Decay
ニュージャージーの変態ラッパーFatboi Sharifの最新プロジェクトは、近年鬼のようにビートを量産するプロデューサーSteel Tipped Dove(4月編ではAlaskaとの共作を取り上げた)とのジョイント作品。Roper Williamsとの『Gandhi Loves Children』を聴いたSteel Tipped Doveが自らSharifにコンタクトを取り、コラボレーションが実現したのだという。様々なタイプのビートを操るSteel Tipped Doveだが、今回はSharifの個性的な声やスタイル(B級ホラー映画への愛を付け加えてもよい)にフィットする不穏でサイケデリックなプロダクションを提示している。対するSharifも過去作に比べてよりラップらしいラップで応答。見事なコラボレーションになっている。Steel Tipped Doveは現在AJ Suede、さらにR.A.P. Ferreiraとの共作も準備中だとか。働きすぎ!


Guided By Voices - Welshpool Frillies
80年代から活動するデイトン, オハイオのインディ・ヒーローGuided By Voicesの2023年2作目。2004年の一度目の解散を経て、2011年に90年代のクラシック・ラインナップで再結成。短期間に6枚のアルバムをリリースするも、14年に2度目の解散。その舌も乾かぬうちの16年、Robert Pollardが独力でGBVを復活させると、17年以降は盟友Doug Gillardを含む現在のメンバーをバンドに加え、リリースのペースは更に加速。たいてい年に2~3枚のアルバムを発表するのが常となっている。Pollardの辞書にはおそらく"自己模倣"とかいう言葉はないのだろうが、聴いているこちらとしても最早そんなことは気にならない。あまりにも数が多いので…(ソロや別ユニットも含めれば、彼の書き残した楽曲の数は少なくとも3000曲に及ぶと言われている)。キャッチーなフックのあるメロディー、ワンアイデアを1曲のうちにきっちり使い倒す(ときに実験的で)インスタントなバンド・アレンジ、そしてPollardのアブストラクトなリリック。こうしたGBV特有のサイクルが常に回り続け、新しい音楽が次々と産み落とされていく。19年の『Sweating the Plague』、20年の『Mirrored Aztec』、21年の『Earth Man Blues』といった近年の良作群の中に、本作『Welshpool Frillies』も新たに加えたいと思う。90年代黄金期のアルバムに収録されてもおかしくなさそうな"Cruisers' Cross"、Pollardの傑作ソロアルバム『Kid Marine』を思い起こさせるメランコリックな"Chain Dance"、跳ねるドラムを切り開いてエモーショナルなメロディが現れる"Why Won't You Kiss Me"、ギターのシンプルなコードに乗せてPollardらしい掴みどころのない、そこはかとなく美しい詞が唱えられる"Mother Mirth"、代表作『Bee Thousand』収録の名曲"Smothered In Hugs"を思わせる哀愁イントロと曲後半のギターワークが印象的な"Better Odds"等、楽曲は粒揃い。GBVのファン以外に訴求するのものなのかはわからないが…。さて、そんなGBVファンを自負するそこのお前に朗報!90年代のGBVにおいてPollardのサイドマンとして数々の名曲を残したギタリスト/ソングライターTobin Sprout(Pollardとの2人ユニットAirport 5も素晴らしい!)が、9月に『Demos And Outtakes 2』をリリース予定。うーん、これは非常に楽しみです!


Gunn Truscinski Nace - Glass Band
Gunn-Truscinski Duoとして数年来コラボレーション作品をリリースしてきたギタリストSteve Gunn(3月編でDavid Mooreとの共作『Reflections Vol. 1: Let the Moon Be a Planet』を紹介している)とドラマーJohn Truscinskiに、キム・ゴードンとのユニットBody/Headでも知られる実験ギタリストBill Naceが加わった強力なトリオ作。Gunn-Truscinski Duoにおけるサイケデリック・ロック的ジャムの感覚が、Naceに催眠でもかけられたかのようにスピリチュアルに変化しているのがすごく面白い。タッチの細かいギターフレーズの反復とヘヴィなドローンと渦巻くドラムとがグツグツと同時進行する11分半の大作"Fencer"が出色。


H​à​i Đ​ộ​c Tho​ạ​i - H​à​i Đ​ộ​c Tho​ạ​i (ph​ầ​n II)
4月編で取り上げたホーチミンのRắn Cạp Đuôiと並ぶ現行ベトナム・エクスペリメンタル・シーンの代表格Mona EviのメンバーLong TrầnによるユニットPilgrim Raidが全面プロデュースするヒップホップ・ユニットH​à​i Đ​ộ​c Tho​ạ​iの最新ミックステープ。JPEGMAFIAみたいだなーとは思うが、ベトナム語のラップすごいかっこいいから聴いてほしい。


Jessy Lanza - Love Hallucination
基本的にはダンス・ミュージックやクラブ・カルチャーを好まない(スティーヴ・アルビニほどではないが)私だが、完全に人を踊らせにかかっている陽気なハウス・チューンのオープナー"Don't Leave Me Now"→最近リバイバルしているらしい2ステップ・ビートの"Midnight Ontario"→最高のシンセ・ブギー"Limbo"というLanza流のダンス・ポップ三連打を前にしては、抵抗の術もない。というか、2016年の傑作『Oh No』以来、僕は一貫してLanzaのファンなのであった。「一度イッただけでは物足りない」「マラソンみたいに走ってみせて」と挑発するLanza自身が中盤でサックス・ソロを吹き鳴らし、挙句"I don’t think you’re very funny. Sorry."というキラーフレーズを囁くDIVAソング"Marathon"におけるセックスを題材にした辛辣なユーモアや、浮遊感のあるエキゾ&チルなトラックに乗せてひたすら自己嫌悪を吐露するシンセ・バラード"I Hate Myself"の対位法には心揺さぶれずにはおれないだろう。


jim o'rourke - steamroom 61
ジム・オルークさんの自主リリース・シリーズ『steamroom』のVol. 61。"Lazy Evaluation"と名付けられた約39分のドローン作品で、大まかに判別すると少なくとも5~6部の構成になっており、各シークエンスがグラデーション的に変化していく。およそ6分半続く不協和音ドローンの第一部と第二部のインタールードとして"You just cut my headphone!"などと男性同士が言い争うボイス・サンプルが用いられているが、これはTikTokerのイタズラ動画がソースであることが判明してウケた。シンセのパルスが刻まれる比較的耳心地の良い第二部がグリッチ・ノイズを浮かび上がらせながら15分過ぎの地点まで継続すると、第三部では再び不穏な不協和音が現れる。19分を過ぎると催眠的なチャイムが鳴り始め、薄く持続する高い周波数のドローンの上を、逆再生されたようなデジタル・ノイズや人間のものと思われる何とも知れない音声が群発的に転がり回っている。24分40秒当たりで一度静寂が訪れて以降は、クレッシェンド/デクレッシェンドを行き交う和音ドローンと何やらメタリックなノイズのせめぎあいが開始。31分を過ぎたあたりでドローン音は息をひそめ、静かに終曲を迎えていく。僕自身熱心なsteamroomリスナーではないのだが、今回の新作は非常に惹きつけられる作品であった。まあTikTokサンプリングが一番面白いけどな。あ、ジム・オルークさんはDrag Cityから映画サントラ『Hands That Bind』も出したので、そちらも忘れずに!


Jonathan Deasy + Matt Atkins - Circulation of Subtleties
フランスのカセット・レーベルFaltより、アイルランドのJonathan DeasyとイギリスのMatt Atkins両サウンド・アーティストによるコンクレート作品。リリースページに特にキャプションがないので制作プロセスは不明だが、おそらくテープループによる(リモート?)セッションあるいは物音のライブ録音も含まれるのかもしれない。静謐かつ不穏なチルアウト系ミニマル・アンビエント。


Julie Byrne - The Greater Wings
バッファロー出身のフォーク・シンガーJulie Byrne約6年半ぶりの3作目。2014年に出会って以降、公私に渡るパートナーであったEric Littmannが本作でもプロデュースを務めていたが、21年に彼が突然亡くなってしまい、制作は中断。レーベルのGhostly InternationalがJonsiとのユニットJonsi & Alexでも知られるAlex Somersと彼女を引き合わせてレコーディングが再開された。リヴァーブの効いた自然志向のサイケデリック・フォーク好盤であった14年のデビュー作『Rooms with Walls and Windows』以来、彼女の音楽は聴き続けているが、前作『Not Even Happiness』で部分的に用いられていたシンセサイザーが本作では大胆に導入されている。中でもシューゲイズ・ドローン作家Jefre Cantu-Ledesmaの参加が嬉しい。20年にLedesmaの素晴らしい楽曲“Love's Refrain”のリワークver.を連名でリリースしていたのが伏線となっており、本作ではその曲が“Hope’s Return”として新録されている。それに続く最後の曲“Death Is The Diamond”は本作において唯一Littmanの死後に書き上げられたもの。“Sign on Caravan East reads, "For you, anything". I guess it's a story so much greatеr than our own”という歌詞が本当に美しいと思う。


DJ Koze - Wespennest​/​Candidasa EP
来年発売予定だという新作アルバムのムードを予告する久々の新曲リリース。Pampa所属のシンガーSophia Kennedy(スコセッシ『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の名場面をオマージュしたMVでおなじみ)をフィーチャーした"Wespennest"、バリ島にある町の名前を冠したサイケデリック・トランス"Candidasa"の2曲。Kozeは来月発売になるRóisín Murphyの新作『Hit Parade』を全面プロデュースしており、そちらもめちゃめちゃ楽しみである。先行シングル"CooCool"とかすでに最高。ところで、Kozeが2018年に世に送り出したバンガー"Pick Up"にMurphyが参加したライブ映像は多幸感がすごくて僕はしょっちゅう見ているのでみんなも見てください。


L​ä​uten der Seele - Ertrunken Im Seichtesten Gew​ä​sser
ドイツの素晴らしい実験フォーク・デュオBrannten SchnüreのメンバーChristian Schoppikのソロ・プロジェクトLäuten der Seeleの新作がロンドンのレコード・ショップ兼レーベルWorld Of Echo(ラフ・トレードよりも行ってみたい!)から。多数のサンプルを用いたノスタルジックな長尺コラージュ/アンビエント全2曲。楽曲のイメージをビジュアル化したSchoppik自身によるMVも公開されている。


Marc Richter - Coh Bale
『資本主義リアリズム』のマーク・フィッシャーが評論集『わが人生の幽霊たち――うつ病、憑在論、失われた未来』で取り上げていたBlack To Comm名義でのアルバム『Alphabet 1968』でその存在を知ったハンブルクの実験音楽家Marc Richterの最新作。本作はその『Alphabet 1968』の続編として構想され、2011年から2015年にかけて制作された楽曲のコレクションになっている。調律の狂ったピアノ、ヴィンテージのシンセ、オートハープといった様々な楽器、そしてエレクトロニクスやボイス・サンプル、ときにオートチューン・ボーカルなど多様な音を解体・再構築してポスト・クラシカル・アンビエント。


Mary Sue - For Sure
Earl以降の現行NYアンダーグラウンド・シーンに非常に強く共鳴したスタイルを持つシンガポール出身ラッパー/プロデューサーmary sue(Siew Png Simの名前で写真家としても活動)の新作。Tony Bontana(a.k.a. SPEW)(SueとBontanaはその後Tony Sueとして共作『COAST TO COAST』も発表した), FATBOYDUPREE, Kip c, KINGAYEOといった海外のアーティストたちの協力を得て昨年リリースした『KISSES OF LIFE』『VOICE MEMOS ACROSS A COUPLE BODIES OF WATER』から翻って、本作は地元の仲間たちと制作され、生楽器も積極的に使われている。内省的なリリックも含めたNYC経由のスタイルを、自らに定着させていく探求のプロセスなのかもしれない。もちろんヘビーローテーションです。


Mike Cooper - Life and Death in Paradise + Milan Live Acoustic 2018
現在はRoom 40などからの実験的なギター作品で知られるMike Cooperだが、初期にはシンガーソングライターとして活動していた。2014年にParadise of Bachelorsが再発した『Trout Steel』(リチャード・ブローティガン『アメリカの鱒釣り』から採られている!)『Places I Know』『The Machine Gun Co. With Mike Cooper』の3作品によって僕自身も彼の素晴らしさを知ったわけだが、今回PoBが再びシンガーソングライターMike Cooperに光を当て、1974年リリースの最後のボーカル・アルバム『Life and Death in Paradise』を初リイシュー。Van Morrisonの傑作『Astral Weeks』を念頭に置き、英国在住の南アフリカ人ミュージシャンからなるビッグ・バンドBrotherhood of Breathの参加メンバーらとジャム・セッションを行いながら制作された全6曲。やっぱりCooperの歌は素晴らしい。フォーク・シンガーとしてのルーツに立ち返ったというライブ録音『Milan Live Acoustic 2018』が追加収録されている。


Natural Wonder Beauty Concept - Natural Wonder Beauty Concept
LA在住のアジア系ニューエイジ作家Ana Roxanneとアンビエント/IDMプロデューサーDJ Pythonによる新プロジェクト。遠いようで近い、意外だがしっくりもくる(Pythonは昨年Ela Minusがボーカルをとった『♡ EP』を発表している)不思議な組み合わせ。Roxanneの歌声は自身の音楽の中心的な役割を担ってはいたが、高速ブレイクビーツの上で歌うRoxanneを想像できただろうか("Natural Wonder Beauty Concept")。ラスト曲"World Freehand Circle Drawing"で聴かれるRoxanneのよりダイレクトでエモーショナルな歌唱も、"III"でのPythonのゆったりとしたラップも、それぞれ個人のプロジェクトでは起こりえないだろう。


The Particles - 1980s Bubblegum
1977年結成、8年の活動期間にわずか3枚の7インチしか残さなかったシドニーのインディー・ポップ・バンドThe Particlesのアンソロジー。もちろん今回初めて知ったバンドだったのだが、同時期のTelevision Personalities的なDIYパンク感覚にTwee & ポストパンクなガール・ボーカル…こんなものは好きに決まっている。21年に発掘再発されたメンバー全員10代の80sインディ・ポップ・バンドTangled Shoelacesもよかったし、Chapter Musicには今後ともこの路線のリイシュー企画を期待。


People Skills - Hum of the Non-Engine
SiltbreezeやBlackest Ever Black、Sophomore Loungeといったレーベルから作品をリリースしてきたフィラデルフィアのミュージシャンJesse DewlowによるプロジェクトPeople Skillsの2023年最新作。Graham Lambkin/The Shadow Rings(ついにBlack Formsから過去作2タイトルのリイシューがアナウンスされた!)に多大な影響を受けているという、非常にアブストラクトなローファイ・エクスペリメンタル・フォーク(Lambkinが13年にリリースした7インチシングル『Abersayne / Attersaye』はこうしたコラージュ・フォーク路線の傑作である)。それだけでなく初期Smog(現Bill Callahan)や初期Lowといったスロウコアにも通じる感触もある。ほとんど言葉の判別がつかないほどまでに加工されたボーカルやドローン系ノイズの内にポップネスと叙情が秘められているのを僕は見過ごさない。21年リリースのThird Eye Blind "Semi-Chamed Life"やThe Cranberries "Linger"などが収録された恐るべきカバー集『Repeat Performance 377』を聴くと、彼の本質的なポップス志向が分かるだろう。過去作も良いのでぜひ聴いてくれ!


Present Electric - Present Electric
Television Personalitiesの楽曲"The Boy In The Paisley Shirt"にちなんで名づけられたサンフランシスコの素晴らしいDIYカセット・レーベルPaisley Shirt Records所属Present Electricの新作。同レーベルでひとりローファイ・バンドSad Eye Beatniksとしても活動するK Linnによる、よりエクスペリメンタル色を推し出した別プロジェクトである。Linn、Mike Ramos(April Magazine←本ブログ3月編で紹介, Flowertown)、Karina Gill(Cindy←本ブログ4月編で紹介, Flowertown)の三人によるバンドHospitalsのアルバム『Hospital II』も同時リリースされているので、僕のようなPaisley Shirt信奉者は忘れずに聴くように!


RETIREMENT - BUYER'S REMORSE
ポートランド出身の4人組ハードコア・ノイズ・ガレージ・バンド。シアトルの素晴らしいパンク・レーベルIRON LUNGから。同レーベルでリリースされた18年のホーム・レコーディングによるデビュー作『EP』以来となるアルバム『BLEED CITY』を3月に自主リリースしたばかりだったが、5年のブランクを埋めるように早くも新作が登場。「バイヤーの後悔」というシニカルなタイトル、"Life Debt", "Human Waste", "Death Sentence"といった期待感を煽る曲名から想像する通り、単に速さで勝負するのではないヘヴィ&ノイジーなひねくれ者のアウトサイダー・ハードコアで素晴らしい。


Sad Park - NO MORE SOUND
カリフォルニアのポップ・パンク/エモ・バンドのPure Noiseデビューとなる3作目。カナダのPUPや、あるいはボーカルであるGraham Steeleの声はかつて存在したNYCのインディー・バンドCymbals Eat GuitarsのボーカリストJoseph D'Agostino(Empty Countyとして秋に新作リリース予定)を思い起こさせる。


Shapednoise - Absurd Matter
イタリア出身ベルリン在住のプロデューサーShapednoiseが新たに立ち上げた自身のレーベルから発表した新作。「不条理な問題」と題された本作は、ShapednoiseことNino Pedonの身に起こった突発性難聴という経験そのものからインスピレーションを受けて制作されており、その結果、過剰な低音圧にとりつかれた非常に耳障りなエクストリーム・ノイズ・テクノ・ヒップホップ・アルバムに。Romanceとの共作『River Of Dreams』も素晴らしかったデヴィッド・リンチ作品のサウンド・デザイナーDean Hurley、Billy Woods & E L U C I DのArmand Hammer、アフロ・フューチャリストMoor Motherら、強力なゲストたちが参加しているが、中でもBruiser Brigadeの個性派ラッパーZelooperzがノイズに呑まれながらも意外にハマっているのが発見であった。迷わずヘッドフォンで聴くべし!


Silicone Prairie - Vol. II
Warm Bodies、Natural Man Band、そして今年アルバムを出したSnooperのギタリスト(アートワークも担当)として忙しく活動してきたカンザスシティのミュージシャンIan Teepleによるソロ・プロジェクト。21年のデビュー作『My Life on the Silicone Prairie』に続いて、The Drin, Smirk, Crime of Passing, Spread Joy等を擁するシンシナティの素晴らしいパンク・レーベルFeel Itより。DevoライクなLo-fi ベッドルーム・ジャングリー・ポストパンク・サウンドにさらに捻りが加えられ、フルートの調べが爽やかなソフト・ロック調の"Mirror on the Wall"なんていう名曲も生まれる始末で本当に素晴らしい。11月末にまさかの来日ツアーが決定しているのでみんなで駆け付けよう!


Strange Ranger - Pure Music
Strange Rangerほど変化することに躊躇いのないバンドもなかなかいないだろう。Isaac EigerとFred Nixonの二人によってSioux Fallsとして結成され、自主リリース作『Lights Off For Danger』(僕は未だに1曲目"On the Bus In the Heat"なんか大好きである)などを経て、Modest Mouseの影響が非常に色濃い2LPの大作『Rot Forever』で2016年にデビューする(僕はこのデビュー作も10s USインディーの隠れた傑作だと思っている)。その後バンドは現在のStrange Rangerに改名。ポートランドからフィラデルフィアへ拠点を移し、17年にはアルバム『Daymoon』を発表。この時点でメンバーは今のラインナップとなっているのだが、こちらはまだSioux Falls時代の名残を感じさせつつも、初期Alex G的ナイーブさがIsaac Brock的鬱屈を中和するようなローファイ・ギター・ロックであった。EP『How It All Went By』を挟んでリリースされた19年の3rd『Remembering The Rockets』は、これまでバンドの主役であったギターがその場所を若干だがピアノやシンセに明け渡し、打ち込みドラムや短いインスト曲も導入された、新たなスタイルを感じさせるソフィスティケートされたポップ・ソング集であった(その当時のインタビューにおいて既にメンバーはYves TumorやOneohtrix Point Neverの影響を公言しており、僕はこのアルバムもまた大好きなのである)。そして、さらに冒険を推し進めて大胆にエレクトロニクスを取り入れた2021年の向こう見ずなミックステープ『No Light In Heaven』はバンドにとってのエポックとなり、拠点をニューヨークに移して現レーベルFire Talkとサイン。エクスパンデッド・バージョンにはBlaketheman1000らによるRemixも収録された。そして今回の『Pure Music』は、ダンス・ミュージックやIDMの薫陶を受けての荒療治的な変異を、M83やThe Cure, Talk Talkといったシンセ・ロックのメランコリーを養分にして自身のスタイルにチューニングしていったような、彼らのメタモルフォーゼの完了を示すような一作であった。Strange Rangerと名前を変えてからのアルバム・カバーを並べてみると、郊外の日暮れから都市の夜へと移り変わっているが、それはまさに彼らの現在地点を示しているのだった。


't Geruis - Terre- Poussière
昨年はLost Tribe Soundから『Slow Dance On Moss Beds』、LINEから『Vast』、LAAPSから『Bain D'Étoiles』と3作のグッド・アンビエントを提供してくれたベルギーのサウンド・アーティスト't Geruisが、UKの新設レーベルQuiet Detailsからリリースした新作。「地球、塵埃」と名付けられた本作は、たしかに全編がザラついたホワイト・ノイズに覆われている。その中でシンセによる低音域のドローン、高音域のメロディのループが繊細なテクスチャーを形成していく。William Basinskiが好きな方にはおすすめです。


UFOm - Aliens Are Real
ポートランドのアンビエント/ニューエイジ・レーベルMoon Glyphから、匿名アーティストUFOm(小規模の宗教団体と関わりがあるため匿名を希望したのだという)のデビュー作品。シンセ、エレピ、マリンバ、フルート、ラップスチール、そしてフィールド・レコーディング等のさまざまな楽器を多重的に使用した、素晴らしいコズミック・ニューエイジ。


Whettman Chelmets - Koppen
昨年リリースした『Joan』『Brunch』も素晴らしかった(特に『Brunch』!)オクラホマはタルサのアンビエント/シューゲイズ/ドローン作家Whettman Chelmetsの最新作。スペインのStrategic Tape Reserveより。タイトルの"Koppen"は、ドイツの気候学者ケッペンが考案したケッペンの気候区分(Wikipedia)のこと。ケッペンは世界を(A)熱帯(B)乾燥帯(C)温帯(D)亜寒帯(E)寒帯に大別し、さらに季節ごとの温度や湿度によって細かくマッピングした。本作では、その気候区分(Af, BWh,Csa. etc...)に倣って全15曲が名づけられており、Chelmetsは"the beautiful, the grotesque, the anxious, and the calm"といった日常的な感情に基づいて、モジュラーシンセの音色をさまざまに変調させながらサウンドスケープをマッピングしていく。構造的なコンセプトのノイズ作品。


Ziúr - Eyeroll
Planet MuやPANで作品を発表してきたベルリンのDJ/プロデューサーZiúrがウガンダのNyege Nyege TapesのサブレーベルHAKUNA KULALAからリリースした最新アルバム。ロートタムと呼ばれる瞬時のピッチ調整が可能な平べったいドラムを用いた自在な生のリズムとエレクトロニクスの混成を基調にしたレフト・フィールド作品。ウェールズの前衛ボーカリストElvin Brandhiやエジプト出身アーティストAbdullah Miniawy、UKのエクスペリメンタル・ラッパーIceboy Violetら少数精鋭ゲストたちも素晴らしい。タイトル・トラック"Eyeroll"や"Cut Cut Quote"でのBrandhiのパフォーマンスには特に惹きつけられる。彼女は4月編で取り上げたkœnig『1 Above Minus Underground』にも参加していたが、さらに今月HAKUNA KULALAからアルバム『Drunk in Love』をリリースしている。ちなみにIceboy Violetも同日に新作『Not a Dream But a Controlled Explosion』を発表。どちらも8月編で改めて取り上げることとなるだろう。


7月編・終