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NEW MUSIC TROLL - FEB '24

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2024年2月編です! The American Analog Set - New Drifters New Drifters The American Analog Set 今月もNUMERO再発から始まってしまった!1995年にテキサス州オースティンで結成されたスロウコア・バンドThe American Analog Setが地元レーベルEmperor Jonesからリリースした初期3作に未発表曲を加えた5LPのボックス・セット。メインのソングライターであるAndrew Kennyの祖父母の家にお手製のスタジオを構え、当然のようにデビュー作から一貫してセルフ・プロデュースで制作されていて、アンダーグラウンドがオーバーグラウンド=音楽産業に引っ張りあげられていくこの時代にしてはあまりにもリラックスしすぎている。そして彼らがギャラクシー500やスペースメン3の熱心なリスナーだったろうことは想像に難くない。1st『The Fun of Watching Fireworks』は当時からステレオラブとも比較されて所謂"スペース・ロック"という括られ方をされたようだが、続く2nd『From Our Living Room to Yours』においてより一層スローにミニマルに邁進しているのが素晴らしい。ホントにいいバンドです。ちなみに去年18年ぶりの新作『 For Forever 』で復活しています。 Ariel Kalma, Jeremiah Chiu & Marta Sofia Honer - The Closest Thing to Silence The Closest Thing to Silence Ariel Kalma, Jeremiah Chiu & Marta Sofia Honer 70年代から活動するニューエイジ巨匠 Ariel Kalma と、昨年の9月編でアルバム『 In Electric Time 』を取り上げたLAのモジュラーシンセ奏者Jeremiah Chiu、ヴィオラ奏者Marta Sofia Honerによるコラボ作。後者2名は2022年に『 Recordings from the Åland Islands 』でデュオとして作品を発表しており、それを聴いたKalmaがBBCのラジオ番組Late Jun

NEW MUSIC TROLL - JAN '24

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2024年1月編です!やります!   90 Day Men - We Blame Chicago We Blame Chicago 90 Day Men 1995年結成、シカゴを拠点に活動したポスト・ハードコア・バンド90 Day Menのコンプリート・ディスコグラフィ。昨年の4月編で紹介した FACS のBrian Caseが組んでいたバンドです。最近のNumero Groupのこのラインのリイシュー企画は目の付け所がニッチすぎて、「これを出してペイできるのだろうか…」と心配になるレベル。たとえばDusterは今の時代に事故的にフィットして見事にリバイバルを巻き起こしたが、90 Day Menは絶対にそんなことにはならないだろう。かといってカルト的なフォロワーを生み出すわけでもないだろう。でもそれを掘り起こすのがNumero!Numeroにしか出来ない仕事!ありがとう!改めて聴いてみると、初期のあからさまにFugaziやSlintを想起させるアプローチが、ピアノのメロディーがリードする複雑かつ荘厳なアンサンブルに深化していく様子がつぶさに捉えられて非常に興味深い。2000年の1st『(It (Is) It) Critical Band』から2年後の2nd『To Everybody』、さらにその2年後のラスト作『Panda Park』へ至るまで1作ごとの無茶な変質に驚かされる。僕の働いているレコード屋でもBOX入荷したけど、もちろん売れ残っている! Angry Blackmen - The Legend of ABM The Legend of ABM Angry Blackmen JPEGMAFIAやclipping.やDos MonosをリリースしてきたDeathbomb Arcに所属するシカゴのラップ・デュオ。Danny Brown, JPEG, Death Grips以降と言ってよいインダストリアル~ノイズ系ビートはデビュー以来タッグを組む Formants ことDerek Allenがプロデュースしている。明瞭なフロウで語られるアルバムのテーマは資本主義、消費主義、レイシズム、実存とメンタルヘルス。アルコール依存や自動車事故などの生死に関わる実体験とともに、フィリップ・K・ディックやリチャード・マシスンといったSF作家、あるいは『ノー・カントリー』『ゼア・