NEW MUSIC TROLL - NOV

11月編です!

Acetone - I'm still waiting.

92年結成、2001年にフロントマンRichie Leeの自死によって活動を終えたロサンゼルスのインディー・ロック・バンドAcetoneのコンプリートLPボックスが爆誕。同時に4枚のオリジナル・アルバム『Cindy』(1993),『If You Only Knew』(1996),『Acetone』(1997),『York Blvd.』(2000)も個別にアナログ再発された。Light In The Atticが2017年にリリースした2LPのコンピレーション『Acetone 1992–2001』で僕自身このバンドの存在を知ったわけなのだが、たしかにそれまでAcetoneはほとんど忘れ去られていたようであった。そのコンピには、スロウコアの到達点であるBedheadを牧歌的にしたような、ヴェルヴェッツの3rdを想起させるような穏やかな楽曲群が収録されており、僕はたちまちファンになったのである。限定750部のLPボックスは既に完売。僕はオーダーしたのが届くのを今か今かと待っています!


Better Corners - Continuous Miracles, Vol​.​2
Tomaga, Vanishing TwinMoinといったバンドでドラムスを担当し、ロックからフリー・ジャズまで幅広いフィールドで活動するValentina Magaletti、英国ポストパンク・レジェンドWireの現ギタリストMatthew Simms、90年代から活躍するマスタリング・エンジニアSarah Registerの3名によるスーパーグループBetter Cornersの2nd。アンビエント~ドリーム・ポップ~ノイズ~アヴァン・ロックまでをカバーするレフトフィールドな傑作。


Blockhead - The Aux
昨年、Ninja Tuneからリリースしたインスト4部作『Music By Cavelight』『Downtown Science』『The Music Scene』『Interludes After Midnight』がリプレスされたのも記憶に新しいNYCのベテラン・プロデューサーBlockheadがBackwoodz Studiozのボスbilly woodzをエグゼクティブ・プロデューサーに迎え、数多のアンダーグラウンドMCと共に完成させたラップ・アルバム。アブストラクトなビートや奇妙なボイス・サンプル、流麗なピアノのメロディーがアルバム全体のトーンを設定しているが、Navy Blue, Quelle Chris, Aesop Rock, Armand Hammer, Bruiser Wolf, Open Mike Eagle, Koreatown Oddity, Defcee, ShrapKnel(Curly Castro & PremRock), Akai Solo, Fatboi Sharif, RXK Nephew, Danny Brownといったゲストがやはり強キャラすぎる。盟友Aesop Rockとの"Mississippi", Bruiser Wolfとの"Papi Seeds", Infinity Knivesとのジョイント作『King Cobra』が印象深いBrian Ennalsとの"Sad Vampire"なんかがお気に入り。


bod [包家巷] - enough music
5月編で『music for Film01』、7月編で『NONWARE 空​件​提​高』を紹介したベルリン在住の中国系アメリカ人アーティストbod [包家巷]の最新作は、愛鼠Gricioへ捧げられたアンビエント・ポップ全8曲。「バックグラウンド・ノイズのある環境下でのリスニングを意図している」そうなので、たぶん地下鉄の車内とかで聴くのが良いと思う。


Camp Ghost - Double Pack
DIYエモ・レーベルHoneysuckle Recordsから、ソルトレイクシティのアコースティック・ローファイ・エモ・デュオの1st『enjoying what's left』と2nd『keep it together』をカップリングした企画盤がデジタル・リリース。10年代エモ・リバイバルを代表するModern Baseballなんかが好きだったそこのお前に聴いてほしい。


Chuquimamani-Condori - DJ E
ボリビア先住民アイラマ族の血を受け継ぐElysia Crampton Chuquimia f.k.a. Elysia CramptonがChuquimamani-Condoriとしてセルフ・リリースした最新作。これまで同様、アンデス地域に伝わる伝統的リズムに焦点を当てた脱構築的エレクトロニック・ミュージック(Bandcampページでは"caporales=カポラレス, "huayno"=ワイニョ, "kullawada"=クラワダのタグがつけられている)。2021年には映像作品『Amaru’s Tongue: Daughter』を制作、今年に入ってからも実兄Joshua Chuquimia Cramptonと共にニューヨークのMoMA PS1でエキシビジョンやライブ・パフォーマンス(Soundcloudに音源あり)を行うなど、20年の傑作『ORCORARA 2010』リリース以降も彼女たち自身の民族的ルーツに根差したアーティスト活動をしていたようだ。兄Joshuaが参加している本作もおそらくそういったビジョンに連なるものなのだろうが、複雑怪奇な音のコラージュが引き起こす爆発的なエモーションの美しさに涙腺までも刺激される年間ベスト級の傑作であった。本作をフォローする形で公開されたFact Mixも最高。とにかく聴いてくれ!


claire rousay - i no longer have that glowing thing inside of me
11月のBandcamp Fridayに合わせて公開された11分の長尺トラック。2022年から2023年にかけてロサンゼルス、ケルン、サン・アントニオ、パリで録音されたドローン・アンビエント・アンサンブル。ケルンを拠点にするヴァイオリニストJulia Brüssel、チェリストEmily Wittbrodtが参加している。本トラックの収益はすべてガザ地区で人道支援活動を行う非政府組織Aneraに寄付される。


Damien Jurado - Passing the Giraffes
10月編で取り上げた前作『Motorcycle Madness』の姉妹篇。架空のライブラリー・ミュージック作品を自主リリースするシアトルのプロデューサーSean Wolcottと共に作り上げられた風変わりなヴィンテージ・ポップ調のプロダクションは継続され、本作でも独特の音世界を構築している。僕はこの二部作が後々カルト人気を生み出すことをほんのり期待しているの…。


Daniel Bachman - When The Roses Come Again
早熟のフィンガースタイル・ギタリストとして20代前半の時分から米フォーク界で活動してきたDaniel Bachmanは、従来のプリミティブなスタイルからの逸脱を見せ始めた2018年の『The Morning Star』以降、Three Lobedで発表した『Axacan』『Almanac Behind』において、アメリカの政治状況や環境危機への警告を発しながらフィールド・レコーディングやラジオ放送のコラージュ、ノイズ&ドローンといった実験的な手法を洗練させてきた。本作もそれらに連なるBachman流エクスペリメンタル・フォークの新たな傑作だ。ヴァージニア州にあるシェナンドー国立公園に建てられた小屋で大工助手として働きながら、そこをスタジオとして借り、自作楽器(ノーフレットのバンジョーやアパラチアン・マウス・ボウ)による即興演奏を録音。バンジョーのノスタルジックなアルペジオとラーガ風のドローンが崩壊的なノイズに呑まれていくような、テクノロジーとアメリカーナの歪んだ融合が美しい。


Danny Brown - Quaranta 
Brownにとってのブレイクスルーとなった2011年作『XXX』の続編として構想され、当初は『XXXX』や『40』といったタイトルで予告されていた40歳記念アルバム。3月にリリースされたJPEGMAFIAとの『SCARING THE HOES』とは対照的な抑制された声のトーンが印象的だが、本作の大部分の曲が制作されたパンデミックのロックダウン期間中、Brownは深刻なアルコール依存に陥っており、精神的などん底にいたのだという。"This rap shit done saved my life and fucked it up at the same time"という悲痛な歌い出しで始まるタイトルトラック"Quaranta"のコーラスでは"Nigga, you 40, still doing this shit?"(40にもなってまだこんなクソみたいなことしてるのか?)と自らに問いかけ、30歳を目前に控えた上昇志向と焦燥に満ちた『XXX』後の10年間と、その快楽主義的で自己破壊的でおちゃらけたパブリック・イメージに内省を加えていく。『SCARING THE HOES』が躁なら、『Quaranata』は明らかに鬱のアルバムだ。Brownは今年初めにリハビリに通い断酒に成功。JPEGとのツアーもシラフで乗り切ったことを自慢げにインタビューで語っている。アルバムのラストを飾る"Bass Jam"の穏やかでスウィートなムードは、quarantine期のハッピーエンディングと新たにスタートさせたクリーンな生活を予告しているかのようだ。


Duster - Remote Echoes
今やTikTokでも人気になってしまったスロウコア・レジェンドDusterの初期ホームレコーディング・デモ音源集。曲というよりはアイデアのスケッチに近いものだが、MohinderCalmDusterへと至るCanaan Dove AmberとClay Partonの道程を探る上では非常に貴重なドキュメントになっている。


Empty Country - Empty Country II
自主リリースのデビュー作をPitchforkに称賛され、それ以後Pitchfork Hypeの烙印に苦しみながら2017年に解散したインディー・ロック・バンドCymbals Eat GuitarsのフロントマンであったJoseph D’Agostinoが2019年に立ち上げたプロジェクトEmpty Countryの2ndアルバム。CEGの最終作『Pretty Years』もEmpty Countryの1stも僕の大好きなアルバムだが、D'AgostinoはECにおいて架空のキャラクターを基にした連作短編のようなストーリーテリングの手法を試みてきたのであり(先行シングル"Pearl"は前作収録の楽曲"Marian"の続編であることが明かされている)、本作は"キャラクター・ソング"ライターとしてのD'Agostinoの到達点であるには違いないだろう。その中で、"David"は生前親交が深かったという故David Berman(Silver Jews, Purple Mountains)への直接的なトリビュートであり、メンターを失った彼自身の喪失感が例外的に表出された感動的な曲だ。今年屈指のインディー・ロック・アルバムのひとつ。


Eugene Carchesio + Adam Betts - Circle Drum Music
Room40から『Circle Music』と題した連作をリリースしているオーストラリアのサウンド・アーティストEugene Carchesioと、Jarvis Cocker(Pulp)率いるバンドJARV IS…の一員としても活動するロンドンのドラマーAdam Betts。Room40のボスLawrence Englishのキュレーションによって出会った2名によるミニマル電子パルスと生ドラムのセッション。短い様々なパターンが次から次へと繰り出される禁欲的なぶつ切りのトランス・ミュージック。


Food People - Luminous Immediate
ノッティンガムとグラスゴーを拠点に活動する三人組。7月に米サイケ・レーベルFeeding Tubeからリリースした初のフィジカル作品『Many Glorious Petals』に続いて、地元グラスゴーのカセット・レーベルGRALCからリリースした新作。ギター、ヴァイオリン、テープループ、フィールド・レコーディング等を使用した即興によるスペーシーなアンビエント/ノイズ/ドローンを軸に、クラウト・ロック風のリズムの反復や前衛ブルース、アシッド・フォークのノスタルジアをローファイなテクスチャーで包んでいて非常に◎。


Francisco Meirino & Altar Of Flies - Exhausted, we fall
スイスのFrancisco MeirinoとスウェーデンのMattias Gustafsson a.k.a. Altar Of Flies、2名のサウンド・アーティストによるノイズ共演作。Side A,B合わせて37分ほどの演奏時間の中でさまざまに変化する音のテクスチャーを楽しむ。Side Aでの中盤で浮かび上がるピアノの不穏なメロディーやSide Bにおけるボイス・サンプルのモチーフはホラー的で◎。というかタイトルが◎。


Frederik Valentin & Loke Rahbek - The Friend's Place
Posh IsolationのボスLoke Rahbek a.k.a. Croatian AmorとFrederik Valentinの4度目のコラボレーション作品。この二人といえば何といってもコペンハーゲン国際ドキュメンタリー映画祭の企画でクリス・マルケル『サン・ソレイユ』の新たなサウンドトラックとして制作され、去年リリースされた『Together』がマジで素敵だったわけなのだが(僕は『サン・ソレイユ』が大好き)、本作も十分すぎるほどシネマティックなシンセ・ファンタジー・アンビエント。Lust For YouthらPosh周辺とも関わりの深いSoho Rezanejadのボーカル参加も嬉しいところ。にしても去年のRachika Nayar『Heaven Come Crashing』を聴いたときもそうだったけど、現時点で21世紀ノスタルジア(©Dos Monos)的な音楽があるとするならば、それってM83とかなのでは?って思うんだよね(仮説)。


Fysisk Fostran - Räkenskapens Dag
スウェーデンはヨーテボリのレコードショップ兼レーベルDiscreet Musicのアーカイブ・ラインFördämning Arkivの最新リリースは、80年代初頭にスウェーデン北西部の小さな町ステヌングスンドで10代の若者によって結成されたローファイ・インダストリアル・ノイズ・パンク・バンドの音源集。当時録音された唯一の7インチはたった4枚テストプレスされただけだったという。僕はこういうリアル・アート・パンクな表現にロマンを感じずにはおれない質なので、例えば"Expo 7"でのバカっぽいシンセの音を聴いたりすると、顔が綻んでしまうのである。当時のメンバーが数年前にYouTubeに音源を上げているのを見つけたが、その概要欄によれば「Chrome, Throbbing Gristle, SPK, Stooges, Velvet Undergroundをよく聴いていた」のだとか。ホント素晴らしいです。


H31R - HeadSpace
ニュージャージーのプロデューサーJWordsとブルックリンのラッパーmaassaiのユニットH31R(発音はheir/air)の最新作。前作『ve​·​loc​·​i​·​ty』にも刻印されていたジャンル折衷的でアヴァンギャルドなスタイルは、本作においてSF的ヴィジョンを伴って更に推し進められる。自他共に認める機材マニアであるJWordsが操る複雑なクラブ・ビートとアフロ・フューチャリストを自認するmaassaiのフロウがいとも自然に組み上げるコンビネーションは他の何にも似ていない。


Honour - Àlááfíà
昨年PANからEP『BEG 4 MERCY』でデビューした謎多きアーティストHonourの1stフル。ナイジェリアにルーツを持つ彼の亡くなった祖母に捧げられた作品だという。ダークなノイズ/ドローン、ボイス・サンプルやフィールド・レコーディング、そしてひび割れたヒップホップ・ビートなど、さまざまな要素がパッチワークされ、崩壊と喪失のイメージが全編を覆っている。彼はこれをAbleton Liveのデモ版(!)で粘り強く作り上げたのだという。涙ぐましいなぁ。年ベス確定。フィジカル化希望!


James Bernard & anthéne - Soft Octaves
米インディアナ州のアンビエント・レーベルPast Inside the Presentより、夫婦ユニットAwakened Soulsでも活動するベテラン・アンビエント作家James BernardとAnthéneことBrad Deschampsの共演作。録音はBernardの6弦ベースとDeschampsのラップ・スティール・ギター、アナログ・シンセ、さらにフィールド・レコーディングを組み込みながらワンテイクで行われているという。エッジを削ぎ落したハーモニーのグラデーションにただただウットリさせられる。


John Francis Flynn - Look Over the Wall, See the Sky
アイルランドはダブリンのシンガー/ギタリスト/フルート奏者John Francis Flynnの2ndアルバム。本作に収録されている楽曲は、古くからの伝承歌や20~60年代のフォーク・ソング、あるいはアイリッシュ・パンクを代表するバンドThe Poguesの“Kitty"といった既存のものなのだが、彼はそれらを大胆にリメイクしてみせている。いわばトラッド・フォークの脱構築的リバイバリスト。例えば、ハリー・スミスが編纂した『Anthology of American Folk Music』収録のBascom Lamar Lunsfordの歌唱で最も有名な"I Wish I Was a Mole in the Ground"は、Jackson C. FrankKaren Daltonをはじめとして様々なミュージシャンにカバーされてきたが、ここでFlynnはこの曲をポストパンク調のスポークン・ワード・スタイルでアレンジする。まじカッコいい。つぎの"Willie Crotty"は、ダークなインダストリアル・アンビエントに様変わりし、前述の"Kitty"は弦楽器のドローンとゆったりとしたドラムのビート、Flynnのバリトン・ボーカルがオリジナルとは別の美しさを生んでいる。ラストの"Dirty Old Town"はThe Poguesのカバーで有名になったEwan MacCollの代表曲。ここではMacCollのヴァージョンに近いシンプルなアレンジで、自身が本来的にトラッドなミュージシャンであることを明らかにしている。Flynnはいくつかのインタビューでダブリンで起こっているジェントリフィケーションとそれに伴って元々の地域コミュニティの維持が困難になっていることを口酸っぱく批判していたが、つまり彼は正しい意味での保守主義者なのだ。


k2dj - Por
5月編で紹介したBen Bondyの新プロジェクトk2djの新作がカナダのnaff recordingsから。前作『stay inside』でも見られたmore eazeライクなオートチューン・ボーカルのエクスペリメンタル・ポップに加え、ダビーなビートやボーカル・チョップのGlitch系IDMも試みられている。


KOU - KOU
フランスのアヴァン・デュオNina HarkerのメンバーApolline Schöserと主にベーシストとして活動するThomas CoqueletによるプロジェクトKOUのデビュー作がベルギーのAguirreから。Nina Harkerにも日本語歌唱の不思議な曲があるのだが、本作は「やーこのLPは非常に良いと思いますー。よろしくお願いします。村山でした。」という謎の人物・村山氏のコメントで幕を開ける。BlodBrannten SchnüreあるいはLäuten der Seeleに近い感触のローファイ/エクスペリメンタル・フォーク&サウンド・コラージュをベースに、Alvin Luierの代表作“I Am Sitting in a Room”をパロった“I Am Not Sitting In A Room”、ブロードウェイの作曲コンビ、ロジャース&ハートによるオールディーズ“Blue Moon”の真面目なカバー、素人カラオケ大会の様相を呈する“Kedith Shea”など底知れぬユーモア・センスを披露するAguirreらしい作品。


Leo Okagawa - Druhé Město
アンビエント/ドローンを中心とした実験音楽レーベルzappakを運営するアーティストLeo Okagawaの新作が、本ブログでも何度か取り上げているエディンバラのカセット・レーベルMolt Fluidから。「知らない街の原風景」をイメージして制作された、フィールド・レコーディングと電子ノイズのコラージュ作品。似ているけれど手法が異なる、8月編で紹介したフィーレコ&ライブ・エレクトロニクスによるMaeda Yasuyuki & Li Song『28th Dec, Arakawa』と合わせて聴くのも良いでしょう。


Limbo District - Rhythm Forward +2
先月Harvey MilkのR.E.M.『Reckoning』再現ライブ盤を取り上げたアトランタのレーベルChunklet Industriesからヤバいブツが。アトランタの東に位置するダウンタウン・アセンズで1981年から約2年間活動したバンドLimbo Districtの公式音源が初リリース。この時期のアセンズといえば、B-52'sR.E.M.を筆頭にPylonThe Method Actors, Love Tractorなどが活動する新しいロック・シーンの大きな拠点だったわけだが、その中でも異質な存在感を放ったまま、一部の人間以外に全く知られずにいたのがLimbo Districtであった(もちろん僕も知らなかった)。しかしながら実はLimbo Districtの音楽に触れる機会は長らく開かれていたのである。80年代当時のアセンズの音楽シーンをとらえたドキュメンタリー映画『Athens, GA: Inside/Out』に彼らは登場しているらしいし、その映画の撮影を担当したJames Herbertが1983年に制作したショート・フィルム『Carnival』は全編Limbo Districtの音楽をフィーチャーしている。その映像は2012年にYouTube上にアップロードされ、この10年間誰もが観られる状態にあった。さらに2009年に溯れば、Chunklet Industriesがレーベルのブログで前述の短編映画から抽出した音源を個別にファイル化して公開している。で、それから14年を経た今年、ついにLimbo Districtの正式音源が初めて発売されたのだ。さらには『Carnival』をオリジナルのリールから復元し、上映会も開催されたそうである。7人いたメンバーの名前や生死についてもはっきり調査されている。作曲とアレンジを担っていたのはドラマーのJerry Ayers(2016年没)で、彼はアンディ・ウォーホルの"スーパースター"だったこともあり、B-52'sとR.E.M.の楽曲の共同作曲者としてのクレジットも残っているそうだ。こんなパズルのピースを埋めていくような作業を行ったChunkletは素晴らしい。そして、Limbo Districtの音楽ももちろん素晴らしい。めっちゃ変。


Lisa Lerkenfeldt - Halos of Perception
メルボルンの実験音楽家Lisa LerkenfeldtがフランスのShelter Pressからリリースした新作。9月にLawrence EnglishのRoom40で発表した『Shell Of A City』は、高速道路の下部構造にマイクを触れさせ、そこで起こる不思議な共鳴を捉えたフィールド・レコーディング作品で、ある種の音響彫刻作品であったが、本作でLerkenfeldtが探求するのは空洞だ。トンネルや排水路、廃墟などを探索する地元メルボルンの都市探検集団Cave Clanとの活動からインスピレーションを受けて制作されたというテープ・ループ主体のモダン・クラシカル・アンビエント。"Every moment is extended when under the damp earth. Even the walls have a voice."。ここでは、地下空間における音の反響・引き延ばされるエコーが、The Caretaker的な記憶のモチーフと結びついている。


Liz Helman - The Colour of Water
ロンドンのサウンド・アーティストLiz Helmanが地元の実験レーベルFlaming Pinesからリリースした新作。同レーベルからの前作『The Yearning』と同様、散歩をしながらのフィールド・レコーディングで収集した素材(足音、鳥のさえずり、街頭の説教師の説教、水の音、etc.)がオーバーにデフォルメされたノイズ&ドローン・ワーク。


lojii & Alexander Spit - $TARTER_PACK
2月編でAlexander Spitのビートテープ『EXOTIX』を取り上げたときにも、lojiiの2020年作『lo&behold』におけるSpitのトラックのかっこよさに触れたと思うんだが、その2人が新たなプロジェクト$TARTER_PACKを始動。わが意を得たりとはこのことです。Pink Siifuも参加しており、B. Cool-Aid『Leather Blvd.』が好きだった方にもオススメなレイドバック系ブーンバップ。


lungs, phiik, no face - PLANET X
こちらも2月に『Another Planet 4』を取り上げたPhiikとLungs a.k.a. LoneSwordによる"Planet"シリーズの新作だが、Lungsは今回ラップに専念。Fatboi Sharifとの怪作『Preaching In Havana』やal.divinoへのビート提供でおなじみのno faceがトラックのプロデュースを担当したスピンオフ的位置づけのアルバムとなっている。


Marnie Stern - The Comeback Kid
00年代後半のノイズ・ロック界のギター・ヒーローであり、10月にローリング・ストーン誌が発表したばかりの「最も偉大なギタリスト250人」にも選ばれたMarnie Stern、10年ぶり(!)のアルバム!Sleater-Kinneyに衝撃を受け、さらにDon Caballero, Hella, Boredoms, Melt-Bananaに触発され、練習の鬼となって会得したタッピング奏法を武器にZach HillのプロデュースでKill Rock Starsからレコード・デビュー。4枚目のアルバム『The Chronicles Of Marnia』のあと、NBCのトーク番組Late Night with Seth Meyersのハウス・バンドThe 8G Bandのメンバーに選ばれ、2014年から2022年までの8年間を忙しないTVの世界で過ごす。その間に妊娠・出産も経験。そんな怒涛の期間を経て、ようやく自らの音楽にカムバックしたわけだが、オープナー"Plain Speak"のイントロのギターと、力強く繰り返される"I can’t keep on moving backwards"という宣言を聴いた時点で「もう優勝!」みたいな気持ちに。やっぱりMarnie Sternはギター・ヒーローだった。


Matmos - Return to Archive
1948年にモーゼス・アッシュによって設立されたFolkways Recordsは、ウディ・ガスリーやピート・シーガー、あるいはハリー・スミスによる『Anthology of American Folk Music』(本記事2度目の登場)等によって、アメリカン・フォークのリバイバルに重要な役割を果たしたレーベルであるが、音の百科事典を標榜し、音楽以外のさまざまな録音物(カエルの鳴き声イルカの鳴き声昆虫の発する音オフィス廃品置き場のフィールド録音、自己催眠による禁煙のHow To声帯切除手術を受けた男の食道発声、人工発声装置のデモンストレーション)も出版してきた。整形手術の音洗濯機の音で音楽を作ってきた実験エレクトロニック・デュオMatmosは、レーベル設立75周年を記念するプロジェクトの一環でFolkwaysに招かれた際、過去の膨大なカタログにおけるそういった非音楽的なサウンドをソースに音響コラージュを制作することを逆提案。それが本作『Return To Archive』である。1曲目"Good Morning Electronics"から、もう色んな音が聴こえてきて楽しい。EvicshenAaron Dillowayもゲスト参加し、予測不可能なアクセントを加えている。サンプリング・ソースになっている奇怪なレコード普通に欲しくなってくるわ。


MJ Lenderman - And The Wind (Live and Loose!)
ご存知アッシュビルのカリスマ・ギタリストMJ Lendermanのライブ・アルバム。Wednesdayからラップ・スティールのXandy Chelmis、ベースのEthan Baechtoldも参加した編成で、アルバム『Boat Songs』の曲を中心に、来年リリースが予定されている新作に先駆けて公開されたシングル“Rudolf”, “Knockin'”も披露されている。“Toontown”ではWednesdayのKarly Hartzmanがボーカル参加。ささやかな傑作『Ghost of Your Guitar Solo』収録の“Catholic Priest”, "Live Jack", “Someone Get The Grill Out of The Rain”といった名曲群もバンドのダイナミズムを獲得して生まれ変わる。来年春の来日公演が一層楽しみになりました。僕はWednesdayよりLendermanソロが断然好きななのさ!


Mo Troper - Troper Sings Brion
ポートランドのパワー・ポップSSW、Mo Troperの新作は全曲Jon Brionカバー。Jon Brionといえば初期ポール・トーマス・アンダーソン映画や『エターナル・サンシャイン』『ハッカビーズ』『脳内ニューヨーク』『俺たちステップ・ブラザース -義兄弟-』『パラノーマン』『レディ・バード』といった映画音楽の傑作や、フィオナ・アップル、カニエ・ウェストといった一流アーティストのプロデュース・ワークで一般的には知られているが、Troper的にも僕的にも2001年の純SSWアルバム『Meaningless』(2022年にめでたく再発された)が彼のベストの一つなのであり、本作もその『Meaningless』収録曲のカバーなのかと思いきや、否、今回Troperがセレクトしたのは、Brionファンの間では有名な2枚組の非公式デモ録音集やライブ・ブートレグのみに収録されている未発表曲(そのブートレグが気になる方は以下を参照されたい→https://fuckyeahjonbrion.tumblr.com/recordings)。例外的には、BrionがJellyfishのJason Falknerと結成した短命バンドThe Graysの唯一作『Ro Sham Bo』に収録された“No One Can Hurt Me”のカバーも含まれている。この特殊な成り立ちのアルバムは、Brionのソング・ライティングの素晴らしさを証明すると共に、ビーチ・ボーイズを愛するTroperのヴィンテージ・ポップ職人としてのセンスが発揮された幸福な作品となっている。


more eaze - songs of luv+h8
ブルックリンのアンビエント作家more eazeことMari MauriceがAlessio Natalizia(Not Waving)をエグゼクティブ・プロデューサーに迎えてロンドンのEcstaticからリリースした最新作。「大きな失恋に耐え、10年近く暮らした街を離れることになった」激動の2023年を綴った音の日記なのだという。エレクトロニクス、ギターやピアノといったアコースティック楽器、打ち込みのストリングス、そしてトレードマークのオートチューン・ボーカルをフレキシブルに組み合わせたアンビエント・エレクトロニカ・ポップ。Sam Ray(Teen Suicide)のアンビエント・プロジェクトRicky Eat Acidを思い出したりもした。


Pisitakun - KUANTALAENG
バンコク生まれ、現在はドイツのポルトに拠点を置く実験エレクトロニック・アーティストPisitakunがロンドンのCHINABOTからリリースした新作。元々はビジュアル・アーティストとして活動していたらしいが、タイで軍事クーデターが起こった2014年以降、ベルリン訪問をきっかけに自国の伝統音楽を取り入れた実験的な音楽の制作を始めた。不敬罪や権力による監視を回避する手段としての婉曲・抽象表現。本作では、カオソーイなど伝統的なタイ料理の名称が楽曲のタイトルになっている。たしかに我々がタイと聞いてイメージするのは料理のことばかりで、実際タイ政府はこうした食文化や観光業を戦略的に輸出してきたのだという。美味しいエスニック料理のイメージが、タイの政治状況を対外的に覆い隠していることをPisitakunはそれとなく告発する。音楽自体に政治的メッセージは含まれないが、タイトルの"KUANTALAENG"は彼自身の姓であると同時に「主張するべきである」という意味も持っているのだという。


Sense Fracture - Landscape Of Thorns
ミランのエレクトロニック・レーベルHaunter Recordsの共同設立者Francesco Birsa Alessandriによるハード・インダストリアル・プロジェクトSense Fractureのデビュー・アルバム。Elvin BrandhiDumaというNyege Nyege人脈が参加しているので、それにピンときた方はすでにBandcampの購入ボタンを押していることだろうが、これはそんなオメェを裏切らないデジタル・グラインド・ノイズ・アルバムだ。"Heading Wasteward"で強力なボーカルを提供する?Alosは、イタリアの"queer-pagan-doom-avant-metal"プロジェクト。もう一組のゲストLizzitskyは、Gabber Eleganzaが主催するレーベルNever Sleepに所属するロンドンのプロデューサー。Alessandriのこうしたエクストリームな音楽が何に向けて放たれているのかを端的に示すのは、パンデミックとBLM運動の2020年にリリースされたシングル『What We Could Have Done / RAN』だろう。RAN=乱、つまりアジテーション。棘の荒野に立ち尽くせ。


Signal Quest - Hypermyth
Keith Rankin(Giant Claw)とSeth GrahamのOrange Milkから、Lynn Avery, Cole Pulice, Mitch Stahlmannによるスペシャル・ユニットSignal Quest f.k.a. LCMの2作目。Lynn AveryとCole PuliceといえばMoon Glyphからリリースされたコズミック・ニューエイジ・アンビエントの傑作『To Live & Die In Space & Time』でのコラボレーションが印象深いが、フルート奏者Mitch StahlmannもまたAveryのユニットIceblinkやPuliceの傑作ソロアルバム『Scry』に参加しているイツメンなのであり、こんなのは座組を見ただけで即買いやで!Rankinのアートワークや曲のタイトルからも何となく伝わるように、ゲーム音楽からの影響を受けたデジタル&アコースティック・アンビエント。ちなみにマスタリングはFire-ToolzことAngel Marcloidが担当。


Some Exercise - Web Peril
カナダはトロントの一人EBMパンク・プロジェクトSome Exerciseの初フルレングス。Sam Pichonskyという男がやっていること以外には詳細よくわからないのだが、まあSuicideとかSPKとかChris & CoseyとかDark Entriesのニッチな再発モノとかが好きでたまらないそこの名誉少数派諸兄姉はとりあえず聴いてくれ。


TALsounds  - Shifts
Hausu Mountainを主催するMaxwell Allison a.k.a. Mukqs, Doug KaplanとのグループGood Willsmithの一員Natalie Chamiのソロ・プロジェクト。2020年の前作『Acquiesce』に続いてNNA Tapesから。これまで通り即興主体のディープな宅録ミニマル・シンセ・アンビエント。大気から海中に降り注ぐようなChamiの歌声が美しい。


Troth - Idle Easel EP
1月編でアルバム『Forget The Curse』を紹介しましたオーストラリアのオブスキュア・ポップ・デュオTrothの最新EP。3月にはDiscreet Musicからレアリティ・コンピ『Uncut Flowers』が出ていてそちらもグッドでしたが、今回も傑作。リヴァーブを効かせたボーカルのオーバーダブでローファイ・フォークをドリーム・ポップっぽくアレンジした"Kind Of Cure"、Digital Regressのレーベル・メイトPeople Skills(7月編で紹介)を思わせるシュールなエクスペリメンタル・フォーク"Angel Not So Easy"など、終始ぼんやりしたメランコリーを放ちながらいつの間にか始まりいつの間にか終わる全6曲。


Various Artists - Synthetic Bird Music
今、鳥が熱い。知らんけど。本ブログでも度々取り上げているスロヴァキアの実験レーベルmappaから、シンセサイザーの合成音による"ニセ"の鳥の鳴き声にフォーカスしたコンピレーションが登場。国内外合わせて32組のアーティストが集合し、鳥の真似をしている。Dialect, Vic Bang, Grykë Pyje, Mike Cooper, Andrew Pekler, Kensho Nakamura等、名前に馴染みのあるアーティストも多く参加。もちろん本作は「今世紀末までに全鳥種の3分の1を絶滅させる」と言われる人類と鳥類の、ひいては人類と地球の関係について再考を促す取り組みである。日本で鳥といえばメルツバウこと秋田正美か江戸家猫八かといったところだろうが、鳥の鳴き声は何百年も前から人間にインスピレーションを与えてきたのだという。信頼のおける音楽ジャーナリズム・サイトThe Quietusでは、本作と本作にも参加するロンドンのサウンド・アーティストKate Carrが同時期にRoom40からリリースしたアルバム『A Field Guide To Phantasmic Birds』を出発点に、13世紀まで遡って鳥の声と音楽との関係を考察した記事「An Ungraspable Intelligence: Bird Song In The Time Of Collapse」が公開されていたので読むとよろしい。僕が鳥で思い出すのは、小学生の頃に公園で出会った"鳩捕まえおじさん"…。


Vektroid - cRASH 1
Vaporwaveという死んでも死なない音楽ジャンルにおいてMacintosh Plus『Floral Shoppe』が最も参照される作品であることに異論の余地はないだろう。そんなMacintosh PlusことRamona Andra Langleyが、2016年に『RE​・SET』と宣言してカムバックしたこと、Macintosh Plus名義では8年ぶりとなった新曲『Sick & Panic』においてフローラルの専門店神話を破壊しようと試みたこと、Fuji Grid TVの11年越しの続編『Fuji Grid TV II: EMX』をVektroid & New Dreams Ltd.名義で発表したこと…本作『cRASH 1』はその道程の延長であると同時に極地点である。ここで聴かれる、ほとんど原形を留めないほど短く細かく刻まれた何物とも呼べないグリッチの連続は、そこらへんに転がっている"サンプル素材"を安直にスクリューしループするような古典的方法論としてのEccojamsの対極に位置すると言ってもよいかもしれない。制作プロセスについてはBandcampページに文章で詳しく解説されているが、ちょっと何言ってるのかわからないです。あくまでもサンプル・ベースであることはわかるのだが(彼女のVTuber配信を見ればわかるのかもしれないが)。彼女によれば本作は"reconstructive process"と呼ばれる方式のマイルストーンであり(「ベータ版」という言い方もしようとする)、おそらく今後これを基にして更なる作品が生み出されるのであろう(Patreonの支援者向けには3時間ヴァージョンが公開されている)。なので、『cRASH 2』『cRASH 3』...と発展していく習作にすぎない可能性もあるのだが、これはこれでノイズ・ミュージックとして充分楽しめるものであるには違いない。誰でもが、とは口が裂けても言えないが。


Vyva Melinkolya - Unbecoming
5月編でMidwifeとの共作『Orbweaving』を紹介したケンタッキー州ルイヴィルのシューゲイズ・シンガーソングライターAngel Diazのソロ・プロジェクトVyva Melinkolyaの最新ソロ作品。余計な御託を語ることはあるまい…なにせエンジェルがメランコリアをビバしているのだから。公私にわたる親友MidwifeことMadeline Johnstonに加えて、先行シングル"222"にはEthel CainことHayden Anhedöniaも参加。FLOOD Magazineでのセルフライナーノーツ企画では、Duster, Red House Painters, Carissa's Wierd等のスロウコア・バンドやEmma Ruth Rundle, Giles Corey(メタル・バンドHave A Nice LifeのメンバーDan Barrettのソロ・プロジェクト)といったゴシック・フォークからの影響を明らかにしている。うーん、僕と好きなものが完全におんなじだ。


Yellow Swans - Left Behind
2008年に解散したPete SwansonとGabriel Salomanによるドローン・ノイズ・デュオYellow Swansのお蔵入り音源が唐突にリリース!スケートで膝を怪我して治療費が必要になった友人、ツアー中に機材を盗まれた友人のためのドネーション用に2007年から2008年頃に制作されたトラックで、友人たちの問題が事前に解決されたためにお蔵入りになっていたのだが、2020年に行われたリイシュー・プロジェクトの進行中に再発見されたのだという。そんなYellow Swans、実は今年6月にテキサスで開催されたエクスペリメンタル・メタルやノイズ・ミュージックをメインにした音楽フェスティバルOblivion Accessで15年ぶりの再結成を果たしている(そんな素敵なフェスティバルがあるなんて…)。この先の新たなリリースも仄めかされており、ワクワクな状況です。


zeus the elevated - The Metaphysical
英国シェフィールドのアンダーグラウンド・ラップ・レーベルBad Tasteより、カナダのlo-fi boom bapプロデューサーzeus the elevatedのEP。なるほどLPサイズで欲しくなるBad Tasteなアートワークが目を引くが、各ゲストMCに合わせたビートの多彩さも光る。Chester WatsonやRoc Marciano系のドープ・トラックもあれば、ジャジーなエレガント系も。だが何といってもアトランタのDead Hippieをフィーチャーした"Ruby Cold 95"のMemphis~Dungeon~Phonkなビートがイチオシ。この路線で彼といっちょジョイントでもしてみてほしい。


11月編は以上!さて、引きこもりがちになった今年4月から始めたこのブログ企画NEW MUSIC TROLL。きっちり毎月更新を続けて気がつけばもう年末。書く労力のわりに手応えがほとんどないにも関わらずこうして継続してこられたのは、一重に素晴らしい音楽を絶えず生み出すアーティストの方々、それをサポートする素晴らしいレーベルの方々、そして法外なロイヤリティで特に僕が好むような小規模アーティストを搾取し続けるストリーミングサービス(予てからこの問題について重要な指摘を続けている元Galaxie 500・現Damon & NaomiのDamon KrukowskiがGuardianに寄稿した記事「Spotify made £56m profit, but has decided not to pay smaller artists like me. We need you to make some noise」を絶対に読んでくれ!)とは違って(!)彼/彼女らとリスナーを直接繋いでくれる素晴らしいプラットフォームであるBandcamp(しかし10月には親会社による従業員のレイオフが行われるなど、今後運営が破綻する可能性も指摘されている→Pitchforkの記事「Is Bandcamp as We Know It Over?」参照)、さらには新しい音楽に飢えたリスナーを導く音楽ジャーナリズムに携わるライターの方々、こうした駄文を書く場を与えてくださる世界に冠たるプラットフォーム企業Google様、そしてなにより私自身の強迫観念とスノビズムのおかげです。来年以降も続けるならば、もう少し一記事のボリュームを抑えたい。そのうち更新予定の12月編と年間ベスト編もお楽しみに(虚空に向かって)!
最後に、6月編で発表した上半期ベスト・ジャルジャルタワーは『コンビニのトイレの小窓から帰る奴』でしたが、極私的○○奴・オブ・ザ・イヤーは………『バイト初日に「皆の給料あげたって下さい」って言う奴』でした!おめでとうございます。