NEW MUSIC TROLL 2月編です!
Alexander Spit -EXOTIX
LAのトラックメイカーAlexander Spitの新作ビートテープ。彼の名前を意識したのは、フィラデルフィアのラッパーlojiiの傑作『lo&behold』収録の"each day", "longwayhome"がきっかけだ。同年にはMac Millerのラストアルバム『Circle』収録の"Floating"にもJon Brionと共にプロダクションに参加。その他Navy Blue, Sideshow, Medhane等にもビートを提供している。一言で表せば、メロウ。
2か月ごとに様々なアーティストが長尺トラックを発表するコンセプチュアルなデジタル・レーベルLongform Editionsの2月度リリースより、SSW/ギタリストのSteve Gunnとアンビエント作家Amby Downsが共演したドローン・アンビエント・フォーク。
LA出身ラッパー/プロデューサーRhys Langstonとバンクーバー出身ラッパーAndrew Mbarukのジョイント作。Langstonは昨年の『Grapefruit Radio』ではラップしていたが、今作ではトラックメイクに専念。Mbarukのコンシャスなリリックと相まって、R.A.P. Ferreira & Kenny Segalのコンビを彷彿させるアート・ラップ作品になっている。
英SSWの2nd。アコースティックとエレクトロニクスをブレンドしたアレンジとCircuit Des Yeuxを想起させるユニークなボーカルが◎。
ブルックリンのインディーパンクトリオのデビュー作。メンバー3人全員が黒人であり、クィアを自認する。ちなみにアートワークはGENG PTP a.k.a. KING VISION ULTRAが担当。
30年以上活動するフィラデルフィアのサイケ&ノイズ・バンドBardo Pondのキャリア初期の自主制作デモカセットがリイシュー。ディストーションとフィードバックに覆われたラフな音質がラブリー。NZアンダーグラウンドの雄The Dead Cの影響は大きいか。
ブルックリンのDJ/IDM作家Ben Bondyの新作。22年に共に来日したSpecial Guest DJ主催のレーベル3XLより。ボーカルサンプルやチョップも繰り出されるトリッピーなアンビエント。
カナダのポスト・メタル/ドゥームバンドの7作目。The Bodyと組んだヘヴィ・サイケ・フォークとも形容できる21年『Leaving None But Small Birds』に続いてThrill Jockeyからのリリース。ときにRhys Chathamも連想させるワンコードのミニマルなギターリフ、歪みきった執拗なドローン・ノイズ、緊張感を与える重いドラム、それらを串刺すPJ HarveyやCat Powerに影響を受けたというRobin Wattieのボーカルが◎。
おなじみDiscreet Music案件。前作『Pilgrimssanger』の続編にあたるローファイ・フォーク作品。
LAの4人組バンド1stフル。一聴して伝わってくる90年代ポスト・ハードコア/ポスト・ロック/スロウコアへの偏愛。僕はこんなバンドの登場をいつも待っている。
Umor Rex, Hausu Mountain, American Dreamsといったレーベルから作品をリリースしているシカゴのアンビエント作家Brett Nauckeの新作。VISUALS Wineというワイン・ブランドと提携する一風変わった新レーベルCeremony of Seasonsより。
1月編で紹介したCrime of Passing, The Drinと同郷シンシナティ出身、Working-class furyを吐き散らす4人組ガレージ/ポストパンクスのデビュー作。地元レーベルFeel Itより。
グラスゴーを拠点にするCurrent Affairs, Nightshift, Order of the Toadのメンバー、そしてUpset The RhythmやNicey MusicからのリリースでおなじみRobert Soteloによる新バンドの1st EP。ジャングリーなポストパンク。
間違いなく2010年代のBandcampを中心とするDIYベッドルーム・ポップ界のカリスマであったMat Cothran(Coma Cinema)の新作。Elvis Depressedly名義では最後のアルバムになるという。みんなで応援しよう!
ミシガンのマルチ奏者Eric Hallがライヒ“Music for 18 Musicians”に続いて、シメオン・テン・ホルト“Canto Ostinato”を独力で再演した現代ミニマル作品。
オランダのサウンド・アーティスト/電子楽器デザイナーGijs Gieskesが90年代後半に制作した音源をコンパイルした編集盤。ベルキーの実験レーベルFutura Resistenzaより。ちなみにGieskesが制作した色々な電子楽器の使用映像はYouTubeにアップロードされている。
マンチェスターの4人組インプロ集団Historically Fuckedの新作がUpset The Rhythmから。マスロックというには野蛮な、そして奔放に踊らせる音楽。
ロンドンのラッパーJadaseaとブルックリンのプロデューサーLaronのジョイント作。現行NYCアンダーグラウンドHIP HOPシーンの筆頭MIKEが主催するレーベル10kより。10k人脈ではそのMIKEほかSideshowやWiki, Niontayが、一方ロンドンからはJohn Glacier, YS Tekdinner, Pintyらが参加したLondon-Via-Brooklynな楽しいアルバム。ちなみにJadaseaと彼の19年作『half-life』をプロデュースしたKing KruleことArchy Marshall、そしてラッパーPretty Vが今年新バンドAqrxvstを結成。EP『Aqrxvst Is The Band's Name』を発表しているぞ。
カセット・レーベルDadaist Tapes主催Jef Mertensの最新作。ベルギーのアンダーグランド・レーベルKRAAKとマサチューセッツのオブスキュア・レーベルFeeding Tubeとの共同リリース。インドの楽器シュルティ・ボックスを使ったドローン/ラーガ作品。
Justin Vernon(Bon Iver)が在籍したDeYarmond Edison、そしてVernon脱退後に結成されたMegafaunのドラマーJoe Westerlundのソロ作品。エレクトロニクスがたゆたう瞑想アンビエント。Patrick Shiroishiも参加しているよ。
HTRKのVo. Jonnine StandishのソロEP。やはりボーカルリバーブは欠かせない。
LAの実験レーベルJungle Gymから昨年リリースしたアルバム『Locè』が素晴らしかったイタリアのサウンド・アーティストLAMIEE.の新作。ノイズが刻むリズム・パターンの上で声を用いたアンビエンスが展開する。
NUMEROから。70年代の私家アセテート盤からサルベージされたララージの初期未発表音源集。これがニューエイジだ!
ベルギーの実験レーベルAguireより。仏ミュージシャンPauline Marx (La Fureur de Vouivre)のソロ・プロジェクト。トライバルなエクスペリメンタル・フォーク。
Pink Siifu, Lord Byronと共にKryptonyteで活動したOlivia Williams a.k.a. Liv.eの最新作。20年の1st『Couldn't Wait Tell You...』の実験的で精緻なプロダクションを更にサイケデリックに推し進めた、陶酔のエクスペリメンタルR&B/Hip-hop。
4年ぶりの新作。エグゼクティブ・プロデューサーにMount KimbieのDom Makerを迎え、Madlib, Liv.e, KeiyaA, Pink Siifu等おなじみのアンダーグラウンド人脈が参加。それでいて前作に続いて大手Def Jamから出ているのが意外。Navy Blueの新作をDef JamがリリースしたのもMaxoの存在が大きい気がする。
ロンドンのインディーバンドDama ScoutのVo. Eva Liuのソロプロジェクト。香港系という自信のルーツを咀嚼したアート・ポップ。
Moor Mother, Yaeji等の曲にもフィーチャーされてきたブルックリンのフィメール・ラッパーNappy Ninaの新作。イケイケなプロデューサーJWordsと組んだ21年の『Double Down』が傑作だったが、今作はNelson Bandela, やdane.zoneも迎えてオールドスクールな香りもあり。lojii, maassai, Maviほかゲスト参加。
ロシア生まれ現在カザフスタンで活動するサウンド・アーティストOcta Möbius Sheffnerがクリーヴランドの個人レーベルSuite309からリリースした作品。サンプル主体のポスト・インダストリアル・コラージュ・ノイズ。
ブルックリンのエクスペリメンタル・バンドP.E.の新ミックステープ。アンビエントからベースの効いたダンストラックまで、全編即興のライブ録音。
NYCのラッパー2名によるジョイント・シリーズ"Another Planet"最新作。MCでもあるLungsがLoneSword名義でプロデュースする、矢継ぎ早に展開するドラムレスなビートがだいぶキてる。Akai Solo, Fatboi Sharif参加。
ボストンDIYシーンのボスPileの8th。10年代最高のギターソロを含む12年の"Prom Song"から10年を経て、リリースごとにそのスタイルを拡張している彼らだが、今作もボーカルの位置やエフェクト、ポストロック的アプローチ等聴きどころ多。
セリーヌ・ディオンをサンプリングした22年作『Once Upon A Time』が素晴らしかったUKヴェイパー/アンビエント作家Romanceと、『ツイン・ピークス The Return』等映画仕事を手掛けるサウンド・デザイナーDean Hurley、昨年の『In Every Dream Home』に続く2度目のコラボレーション作品。今回のサンプルソースも前作と同じくテレビ放映された昼メロとのこと。
YL, Pink Siifu, Akai Solo, Your Old Droog等にビートを提供するニュージャージーのプロデューサーRoper Williamsの最新ビートテープ。ソウル、R&Bのサンプリングが中心。
Dead Oceansなどから作品をリリースしてきたシカゴのギタリストRyley WalkerとNYCのミュージシャンJeff Tobiasの共演作。ギターとサックス/トランペットによるインプロ・ジャムを収録。録音からリリースまで1週間しか費やしていないという。Walkerの自主レーベルHusky Pantsより。
イラン出身の兄弟2人からなるエクスペリメンタル電子デュオSaint Abdullahと、21年にWe Jazzからリリースしたソロ作『Spring Collection』が素晴らしかったドラマーJason Nazaryのコラボ作。Warp傘下のDisciplesより。レーベルメイトのラッパーNAPPYNAPPA(model home)も参加する電子アンビエント・ジャズ。
英ポストパンク・バンドの3作目。前作・前々作はそんなにってかんじだったのだが、オーバーダブなしのライブ録音で制作されたという今作は気取りがなくて好き。"Adderall", "Orchid", "Burning By Design"等、ヒネたフレーズやポストパンクっぽいリフで引っ張るわけでもないダウンテンポな曲がすごく良い。
前作『Wagahta Tapes Vol.1』の1曲目"Wegahta’s Brother"(Prod. dj blackpower)で吉田美奈子「扉の冬」をサンプリングしていて驚かされたLAラッパーSideshowの新作。そのdj blackpower a.k.a. MIKEが主催するレーベル10kより。前述のAlexander Spitが14曲中9曲をプロデュースしている。
Armand Hammer『Paraffin』に客演しているシカゴのラッパーSkech185のBackwoodzデビュー。Skechの鋭いフロウとゴツい声、そしてJeff Markeyによる不穏なビートの組み合わせが抜群。
ブルックリンのガレージ・パンクスThe Menの9作目。過小評価されている14年の傑作『Tomorrow's Hits』以降では最もプリミティブなパンク・レコードなのでは。それを"New York City"と銘打つ衒いのなさが◎。
オーストラリアのベテラン前衛ジャズトリオの19作目。2曲目"Forming"でのLloyd Swantonのベースが最高。
Henry Birdsey, Zach Rowden, Weston Olenckiの3名によるカセット作品。Side AはBirdseyがバグパイプ、Olenckiがトロンボーン、Rowdenがベースを演奏する重厚なドローン。Side BではRowdenが操作するテープループにBirdseyのペダル・スティール、そしてOlenckiの自作電気制御バンジョーがカオティックなサウンドスケープを展開する。
Oren Ambarchi主宰Black Truffleのカタログナンバー100。世代を跨いだ前衛音楽家3名の唯一の共演ライブを収録した40分の弦楽ドローン。
クラウトロック的なグルーヴがうねる"Sinatra Drive Breakdown"、いかにもヨラらしいノイズ・ポップ"Fallout"、ジョージアのボーカルが素晴らしい"Aselestine"に"Miles Away"、そしてフィードバック・ノイズが横溢するタイトルトラック"This Stupid World"等、どこをとってもヨ・ラ・テンゴで嬉しい。"Apology Letter"の内省な歌詞とかやっぱりたまらない。
20年のミックステープ『Anyways』以降、Nudyの多くのトラックを手掛けるプロデューサーCoupeが今回も13曲中9曲を担当。『Anyways』収録の"Blue Cheese Salad"はこのコンビによる初期の名曲だが、それ以前にも"Loaded Baked Potato"や"Hot Wings"といったフードをタイトルにした良曲を書いてきたNudyが、今作ではついに全曲フード縛りという英断を下した。その意味ではファン待望のコンセプト・アルバムである。
NEW MUSIC TROLL 2月編 終